身辺雑記〜ヨーレイとEM菌のこと
2024年8月×日
◇身辺雑記〜ヨーレイとEM菌のこと
2024年8月×日
ノート 「と学会」亡き後(まだあったらすみません)、こういうものができたらしく、心強い。「擬似科学評定」というサイト。疑似科学かどうかは、だいたい勘でわかり、ほぼそれが外れたことはないのだが、他人に説明、説得する時の科学的な議論ができないのである。科学音痴だから。高卒だし。以下がサイトのアドレス。
このEM菌というのも間違いなく疑似科学であり、タイでは「ヨーレイ」と呼ばれる日本の新興宗教団体が布教の手段として熱心に宣伝している。有機肥料を作ったりするから、農業省にもシンパがいて政府推奨のプロジェクトとして予算がついたりすることもある・・・と、そう、この分野が専門の友人、T君から聞いた。
ちなみに、疑似科学評定のEM菌への裁定は以下のようである。
総評 疑似科学
世界の全ての問題がEM菌によって解決されるとは考え難く、効果としては身近にある極めて狭義の範囲がせいぜいだろう。また、数少ない効果は特にEM菌に限った作用ではなく、しかも他の突拍子もない効果を肯定するわけではないことにも注意が必要である。EM言説において最も危惧すべき点は、多くのEM肯定者が道徳的に“善”であるという信念に基づいて行動していることにある。随所に見られる「共存共栄」という・・・・
この団体のタイでの歴史は古く、13年前のバンコク大洪水の時に、すでに政府内に支援者がいて、市内に溜まって腐臭を放ち始めた水を「浄化するため」と称して、残飯を発酵させてダンゴに丸めたものを、溜水に投げ込んでいた。
万能のマイクロオーガニズム、EM菌が働いて水を浄化するのだそうである。こういういい加減な話を、多くの人力を使い、政府の資金を費やして、防災プロジェクトとして進めていたのである。お金も人も足りない大変な時に、日本発のトンデモ疑似科学が、大変な迷惑をかけていたわけで、時々、このプロジェクトがニュースで報道されると、申し訳ない気持ちがしたものだ。
「汚水をさらに汚染するだけだ」という批判も当然出たが、この国の通例として、真っ当な批判は有耶無耶になり、既得権益が温存される。(「メコン川の火の玉」の話がその典型だろう)また、こういうオカルトじみた話が好きな人たちでもある。だから、自業自得といえないこともない。
※過去記事 「メコン川の火の玉」について
なぜ、こういうことを書いたかというと、ブリラムの私の奥さんの村にも、この宗教団体が入り込んでいることが、最近わかったからだ。しかも、ごく近い親戚が信者だった(笑)うちの婆さん(カミさんの母親)が集会に出席するよう勧誘に来たのだ。自分は後でそのことを知ったのだが、奥さんは、胡散臭いものに嗅覚が働くタイプなので、キッパリと断った。
勧誘に来たのは、ごく近い親戚の元女教師で、退職して暇になったので、宗教にはまってしまったらしい。会員になると、3000バーツで、仏像が刻印されたコインを買わされるのだという。勧誘に成功した人には、何らかのインセンティブが与えられるのではないか。
確かその宗教団体は、神道系であったはずだが、教義に大乗仏教の要素が入っていて(弥勒菩薩信仰)、一時はタイで仏教系の宗教法人として登録されていた。今のステータスは、仏教系の公益財団であるが、名門大学に仏教振興のために寄付をしたり、薬物対策のキャンペーンにお金を出したりして、それなりにタイ社会に認知されている。
しかし、今年一月、信者女性が子供達と無理心中を図って亡くなったことがニュースとなり、この団体としては、好ましくない注目をタイ社会から浴びることになった。幾つかの報道で、アメリカや欧州でカルト認定されていると伝えられもしたが、タイでは依然として活動が許されているようだ。
何せ、この団体がタイで拠点を持ったのは、今から56年前、半世紀以上前なのである。出発点は、有機農業を教える農業学校だったという。
困ったもんだ。
<了>
参考