街角ピックアップ〜静岡茶のおバカCM、バンコクのメトロ駅に出没す
akiyamabkk
撮影は、バンコクメトロのサンヤーン駅にて。厳密に言うと、チャンチュリースクエアーと駅との連絡通路で見かけた。写真は、静岡茶のキャンペーンとして昨年来、断続的に放送されているテレビCMから取られたもの。静岡県民らしき人たちが茶畑を背景に、意味不明のタイ語を叫びちらし、そこにタイ語の字幕がつくという、おバカコマーシャルの一場面である。
一昔前の、川崎徹のキンチョーのコマーシャルを彷彿とさせる、サイコっぽいキャラクターが登場するヘタウマCMだが、日本人の外国語下手をパロっている感じもある。川崎徹を引き合いに出したことからもわかるように、感覚的にも少し古いのだが、作った連中は面白いつもりでやっているようだ。CMとしての出来はイマイチだし、あれを見て、静岡茶を飲みたくなる人も少ないだろう。話題になればそれで良い、というほど、日本茶の知名度は低くいと思うし、意図のよくわからないCMだった。
ちなみに、タイのCM制作者は、日本のコマーシャルを「かつては」よくベンチマークしていて、川崎徹風の「ヘタウマ」「奇妙な味CM」などは、今では完全に、タイのテレビCMの一ジャンルになっている。某生命保険会社の「感動コマーシャル」なども、初期のものは、サントリーの子犬のCMなどを模倣したものだろう。現在では、独自進化をとげて、質量ともに日本のそれを圧倒しているようだが。(あ、最近、日本のCMはあまり見ていなかった!失礼、でも多分そうだろう)
さて、この静岡茶のコマーシャル、ポリコレ的にはどうか?先頃、某有名メーカーのポスター写真が、中国人ヘイトだと話題になった。西洋人の見るアジア系の個性=実はステレオタイプ、が如実に現れたシロモノで、発想は凡庸だったが、中国人ヘイトとまで言うのは違うだろう。おそらく制作者は、アジア系の「個性」に美を見出すポーズをとったことで、中国の購買層に媚を売ったつもりなのである。ありていに言って、マーケット戦略の失敗にすぎないわけだ。
これがヘイトなら、静岡茶のコマーシャルはどうか?「ステレオタイプで媚を売る」どころではなく、特定の国籍グループに対する露骨な蔑視感を表してはいないだろうか?何を大袈裟な、といわれそうだが、私が思うに、あるクラスのタイ人の日本人感(観というよりも感か)は実はこれなのかもしれないのですね。そう考えれば、「甘くないお茶」の購買層でもあるタイ人(少なくともミドルクラス以上)の優越感をくすぐったという意味で、このコマーシャルは、搦め手から成功しているのかもしれない。優越感をもたせるということは、「日本人って、かわいいー」と思わせることでもあるのだから。
だから、直球勝負をしなかったこのCM制作者は、中国人購買層の心理を見事に読み間違えた有名メーカーのCM制作者より、有能だと言えるのかもしれない。ま、中国の場合、「単に中国共産党の逆鱗に触れただけ」と考えることもできるのだが・・・
以下は、静岡茶のコマーシャル。自分で見て判断してください。
参考
https://youtu.be/-vdifiYp9x8