街角ピックアップ~半分の水祭り?本当の水祭り?
今年のソンクラーン(タイ正月、水祭りのこと)、水鉄砲で水をかけあうバカ騒ぎは禁止されたが、連休は復活し帰郷は許された。昨年は、ソンラクーンの祝日そのものが無しになり、庶民の足である国有バス会社の長距離バス便の本数も減らされて、「地元に帰ること自体が非国民」的扱いを受けたのだから、多少はよくなったと言えるのだろう。
もともと、水をかけあう乱痴気騒ぎは、おそらくカオサンあたりから始まった欧米流ワイルドパーティーの流儀で、タイ本来の正月の祝いかたではないだろう。本来のソンクラーンは、家の氏神に新年の幸福をお願いしたり、お寺にタンブン(お布施)をしたり、若い人は年長者の手に水をかけて敬意を示し、年長者は若い世代の将来の繁栄を祈ったりする、家族や地域社会が身内で祝う正月の行事だった。
そう考えると、コロナ予防のため水の掛け合いが禁止され、休暇と里帰りのみが許された今年のソンクラーンは、若い世代にとっては、物足りない半分のソンクラーン、一方で、伝統的な意味では、本来のソンクラーンの姿に戻ったと言えるかもしれない。
もう一つ、良かった点は、交通事故が減ったことだ。そうではないかと思って調べてみたら、案の定、一昨年の(昨年は連休そのものが無くなった)ソンクラーン一週間の交通事故死亡者は348人、今年は277人、2割くらい減っている。水掛けで羽目を外す機会が減った分だけ、飲酒運転も減ったためだろう。氏神様にお供えした後に交通事故にあったら浮かばれないし、神様にも顔向けができない。
<了>
参考