街角ピックアップ~つり革につかまると目と鼻の先にある広告の効果について
タイのフードディリバリー大手、フードパンダのつり革広告。コロナ前からあった企業だが、コロナ下の宅配需要の高まりで急成長し、コマーシャルでもよく見かけるようになった。食品ディリバリーでは、グラブフードと双璧と言っていいのではないか。
カシコーン銀行研究所によれば、タイ食品産業の市場規模は7000億バーツ以上で、年間2~4パーセントづつ成長している。レストランや食堂は40万~50万軒あり、フードディリバリーが市場全体に占める割合は5パーセントにすぎない。しかし、それが今後30パーセントになる可能性があるという。昨年のディリバリー回数は6600~6800万回、前年度比で8割ほど伸びた。
電車のつり革にビラを吊るすアイディアは日本にもあるのだろうか?タイでは、つる革自体に広告が入っていることはよくあるが、ビラは初めてである。つり革につかまっていると目の前にビラ(といってもプラスティック製のしおりみたいな感じのものだが)が来るので、どうしても読んでしまう。良いアイディアではないか。「お取りください、50バーツ値びきいたします、フードパンダ」と書いてある。バーコード入りなので、その場でスマホを出してスキャンすることもできる。
市場拡大とともに参入者も増えて、業者間の競争も激しくなってきたようだ。フードパンダ関連の記事に「GPを30パーセントから25パーセントに減らします」という言葉が盛んに出てくるので、調べてみたら「Gross Profit (粗利益)」の事だった。粗利を削ってでも、値引きキャンペーンやネットワーク拡大に投資するということを言いたいらしい。
「我が身を削ってでもお客様に奉仕いたします」ということだろうが、「粗利率」まで持ち出すのは、台所事象をさらしているようで、ちょっとやりすぎではないか。しかし、そのかいあって、フードパンダは、全国77県すべてに営業所を持つ、タイで初めてのフードディリバリーサービスになったらしい。コロナ第五波の襲来で全国的にコロナが拡大しているから、この先行投資には先見の明があったと言えるだろう。
<了>
参考