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街角ピックアップ~コロナシールド付きタクシー現る

akiyamabkk


コロナシールド付きのタクシーに今日初めて遭遇した。運転手はずっとスマホで誰かと話していたし、聞いてもはかばかしく答えなかったが、どうやら、この写真にあるQRコードの主がやったことらしい。「会社か組合の方針か?」と聞いても、「International なんとかだ」とか、ごにょ、ごにょ、と意味不明のことを言うだけで運転手は一向に要領を得ない。


帰ってから調べてみると、QRコードは運輸省陸運局のものだった。以下は「運輸局一分のテレビドキュメンタリー」と題した広報ビデオ。数日前、陸運局が、都内のタクシー3000台に無料でシールドを設置したのだという。



タイのコロナ感染者第一号はタクシーの運転手だし、今期、多くの死者を出した感染第三波でも、タクシーの運転手が次々と犠牲になった。「タクシーは危険!」というイメージが広がり、外出を控えるようにと呼びかける政府方針もあいまって、利用客が激減、生活していけなくなった運転手たちは、ローン途上の車を放り出して田舎に逃げ帰り、タクシー組合の駐車場に放置されたタクシーには、文字通りぺんぺん草が生えている。(熱帯の植生がそうさせるのである)タクシー業界は今、存亡の危機に立たされているのである。


参考記事


今回の「コロナシールドプロジェクト」はそんなタクシー業界の窮状を打開しようと、業界のイメージアップのために、管轄局の運輸省陸運局が始めたプロジェクトだろう。シールドを設置したタクシーには、QRコード入りのステッカーが貼られ、運転手のサービスに関して、陸運局に報告できるシステムになっているから、長年の懸案であるタクシーのサービス向上も、この機に実現しようという試みらしい。


しかし、現実のタクシーの運転手は、携帯でのおしゃべりに忙しく、客の質問にもはかばかしく答えようとしない。サービス向上もまだまだ道遠しだなと思いながら、料金を払っているとあることに気づいた。


メーターが示す料金は60数バーツ、写真を撮らしてもらったお礼にと、100バーツ払って「おつりは20バーツでいいよ」とチップを渡そうとした。しかし、返ってきたおつりを見ると30数バーツある。聞こえていないかったのだ。おそらく、返事が返ってこなかったのも、プラスチックシールド、二重マスク、私のタイ語の発音の不明瞭さの三重苦で、質問の意味がよく分からなかったからだろう。「なるほど、これはトラブルの種にもなるな」と思いながら、最近にない爽快な気分でタクシーを降りると、タクシーの窓には「この運転手は、ワクチンを接種済みです」というステッカーが貼られていた。




<了>


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