◇私の好きな効果音〜黒澤映画「赤ひげ」の風鈴
黒澤明の「赤ひげ」 この映画は「音」も素晴らしいですね。特にこのシーンの風鈴の音と、赤ん坊の泣き声。登場人物の内心の衝撃、動揺、悲痛を表現して間然するところがない。
よく映画館で見るときの視覚的インパクトの違いを言いますが、音も随分と違います。ずっしりと重い段幕をまくって映画の音の世界に入っていく、あの感じがよい。映画館でこの風鈴の音はもっと良い音なのですよ。
このクリップの終わり、佐八が呆然と歩いている、その片手にダラリと下げられている風鈴が、今度は一つだけで静かになっている。おなかがお辞儀をして向こうへ歩き始めると、堪らなくなった佐八が思わず追いすがろうとする。と、その佐八を押し留めるように、おなかが背中に背負った赤ん坊の泣き声がする。
また、佐八がおなかとの悲痛な物語を語り終えて息を引き取った後、ある決意を固めた青年医師保本が長屋を出ると、もう夜は空けていて、今は、爽やかに風鈴の風に揺れる音が聞こえる。この映画の佐八のクダリは風鈴と赤ん坊の泣き声がキーとなってますね。佐八とおなかが出会うシーンの雪の効果音楽も素晴らしかった。
この他にも、この映画には素晴らしい効果音が無数にある。映像も素晴らしいが、「赤ひげ」は音に感じ入る映画でもありますね
ではでは