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◇私が見ていない日本映画の名作十選

akiyamabkk



1. 雨月物語 

ACTミニシアターで見始めたが、オールナイトだったので途中で寝てしまった。溝口健二の良さがわからない。「近松物語」と「西鶴一代女」は面白いとおもったが、「山椒大夫」などは傾向映画みたいだ。あれ、確か森鴎外の原作では、山椒大夫一族は生き延びてますます繁栄するのである。


2. 戦場のメリークリスマス

ビートたけしが「メリークリスマス、ミスターローレンス」と言ってニッコリする顔を予告か何かで見て、ダーとなって見る気を無くした。「夜の熱気の中で」のロッド・スタイガーのラストの笑顔を見るとなおさらそう思う。プロと素人の差。


3. 総長賭博

「三島由紀夫が褒めた」という事で名作とされている任侠映画。小林信彦と脚本の笠原和夫の解説を読んで見た気になっている。ヤクザ映画は好きなので、見ていないのは、行きつけのビデオレンタルショップに偶々置いてなかったからだと思う。ビデオレンタル、そんなものが昔あったのだ。


4. 神々の深き欲望

おそらく題名に恐れをなして見なかったのだろう。近親相姦を扱った映画らしい。今村昌平の映画は、「日本昆虫記」なども見ておらず、見ていないものの方が多い。露口茂が出ているセミドキュメンタリーみたいな映画は見てみたい。


5. 眠る男

予告を見て小栗康平に興味を失った。「泥の河」は大好きな映画だし、「伽耶子のために」も「死の棘」もいい感じだったのだが。映画監督が大衆性を完全に放棄してしまうと、「なんかズルしてるんじゃないの」「怠けてるんじゃないの」「安易な方向に流れたな」という感じになる。


6. 日本無責任時代

主題歌はよく知っているし、お昼や深夜の映画放送、名場面集などで細切れに見ているのだが、全編通して見た事がない。クレージーキャッツの映画は全てそうだ。カルト的にモテはやされるが所詮B級映画で、クレージーのダンスなど酷いもんだと思う。が、細切れに見ても、植木等や谷啓がとてつもなく面白いという事は分かる。だから断片的に見るだけで十分なのではないか。


7. 心中天網島

鬼平を演じた中村吉右衛門が好きなので、これは見てみたかったが、出だしが、メタフィクション的にややこしくて、映画に入りきれぬまま断念した。篠田正浩の映画では「瀬戸内少年野球団」が好きである、というか、多分、これしか見ていない。ベニー・グッドマンを替え歌に仕立てたのがナイスだった。


8. 東京暮色

山田五十鈴が子を捨てた母を演じる小津映画。これは見てみたい。小津の映画には珍しく、劇中、大きなドラマがあるらしい。山田の娘を演じた有馬稲子がえらく評判が悪いが、いかにも評論家に叩かれそうな人なので気にしない事にする。小津の映画は、それほど評価の高くないものでも、見て二、三日は後を引いて茫然となる事が多い。「彼岸花」や「浮草」「秋日和」がそうだった。


9. かぐや姫の物語

これは予告の絵と歌がうっとりするほど良くて、「絶対見てやろう」と思っていたが、結局、見なかった。私の住んでいる国で公開されなかったからでもあるが、努力してまで映画を見るという習慣がもはやないからだろう。


10. 万引き家族

カンヌ映画祭で受賞したくらいだから名作と言っていいのだろうが、イマイチ見る気にならない。ポリコレ的に「置きにいった」映画という匂いがする。大島渚の「少年」のように徹底的に調べて書いた迫力が感じられないのだ。実話があるのかもしれないが(イエスの方舟事件を思い出した)、「頭で作った設定」という印象が拭えないのである。


<番外> 沈黙

遠藤周作の原作をマーチン・スコセッシが映画化した。Youtubeにあがっているあらゆるレビューを見て、神学生だったスコセッシのインタビューも幾つも聞いて、彼が原作を初めて読んだのは、ようやくある映画をクランクアップして、黒沢の「夢」でゴッホ役を演じるために撮影現場へ向かう車中であった事まで知っているのだが、結局見なかった。私の住んでいる国でも公開されていたにもかかわらず。体調と精神状態がイマイチだったからだ。体調が良くないと見られない映画というのがあるものだ。


黒澤明の映画が無いのは、黒沢映画は全作見ているからである。「眠る男」は、名作との評価を受けていないかもしれないが、何となくそれらしい雰囲気があったので選出した。「東京暮色」や「沈黙」を選んだのも同じ理由である。あ、「沈黙」は日本映画とは言えないか!でも、日本が舞台で、日本に縁はあるので、番外に外して置いておく。代わりに「万引き家族」を入れた。


こう書いてみて、洋画よりも日本映画を比較的よく見ているな、と思った。これは、浪人中と学生時代に集中的に見た時期があったからだろう。


ではでは

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