瀬戸正夫さんインタビュー③〜軍属スパイ瀬戸久雄
akiyamabkk
瀬戸正雄さんインタビューダイジェスト3回目。今回は、マレー侵攻の起点ソンクラーで、日本軍の諜報活動に中心的な役割を果たした、父、瀬戸久雄さんの思い出を語ってもらった。
久雄さんは、二十の頃大望を抱いてシンガポールに渡り、その後、英領マレーの農園を転々としながら、現地の言葉と医学知識を身につけた。そこに目をつけたのが、マレーへの侵攻を企図し始めた当時の軍部であったと思われる。ソンクラーの新領事館に赴任した勝野領事は、当時の日本大使から、先んじて現地に医院を開業していた久雄さんを紹瀬戸正夫さんインタビューのダイジェ介され、「この人に何でも相談してください」と言われたことを記憶している。
久雄さんは、瀬戸さんを可愛がり、沖合へよく釣りに連れ出したが、そこで、瀬戸さんは、父親の奇妙な「釣り」の光景を目撃する。その場所は、マレー侵攻作戦で日本軍がソンクラーに上陸した際、艦船を停泊させた地点と一致していた。「息子を偽装工作に使ったのか?」このことは、瀬戸さんの心に、今でもわだかまりとして残っている。愛憎、相半ばする少年時代の父との思い出である。
<了>