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マフィア化する反軍武装グループを力で制圧?サガイン管区で亡命政権が武装憲兵組織を創出。

akiyamabkk


Frontier Mynmar 2024年5月3日付け記事 <Is the NUG’s latest force up to the task?>「亡命政権の新武装組織は与えられた任務を果たせるか?」より



亡命政権 National Unity Government(NUG)の内務省が、サガイン管区のPDF(People’s Defense Force)、LDF(Local Defense Force) の綱紀粛正のために実力部隊を設立したというリポート。Security & Special Task Force(SSTF) という名のこの憲兵組織は、亡命政権内務大臣の直接の肝煎りで作られ、海兵隊出身のチン族系米人が率いているという。


以下、「匍匐前進する訓練兵に、至近距離から実弾を発射した」と記事中にあるSSTFの訓練ビデオ。海兵隊ばりのスパルタ訓練が売り物の組織らしい。(実弾発射のシーンは2分30秒ほどから)今年一月から300人の隊員が教練を受け始め、飲まず食わず眠らずで強行するレンジャー訓練などの猛特訓を経て、3月末に任務に就いたという。


SSTF People Police のFacebook にある動画。


サガイン管区では、NUG系、非NUG系双方の自称「革命」武装集団が入り乱れ、殺人、暴行、誘拐などの犯罪や人権侵害が横行しているという。Frontier Myanmar が記事中で挙げている例を読むと、随分残虐なケースもあり、にわかには信じ難いが、亡命政権が放置できなくなったほど状況が悪化しているのは事実なのだろう。しかし、地域住民の亡命政権に対する信頼は必ずしも盤石ではなく、NUG の介入の必要性を認める一方で、新設の憲兵組織が、内務大臣の私兵と化し、新たな軍閥マフィアとして状況をエスカレートさせることを恐れているようだ。あるNGO活動家はビルマ中部に伝わる諺をひいてこう言う。


「私たちは、虎から身を守ろうとして、虎より怖い精霊を引き入れようとしているのかもしれないのです」


“We don’t want a situation where we pray to Shin Gyi to protect us from the tiger, only for Shin Gyi to turn out to be even worse than the tiger,” she added, using a proverb that refers to a powerful but capricious nat spirit.


詳しくは、Frontier Myanmar の下の特集記事を読んでほしいが、同誌は以前から亡命政権の改革を訴えており、人事的には、教育大臣、国防大臣、そして、上の記事に出てくる某内務大臣を問題視していた。タイ国境のNUG南部コマンドが、同大臣に個人的な忠誠心を抱いており、更迭すればその部隊を失うから、本来の職務としての治安維持で実績をあげられなくても更迭できないのだというのである。同誌の新憲兵部隊に対する疑念は、内務大臣の持つ個人的権勢への警戒感に端を発しているようだ。


以下、2023年8月9日付け「亡命政権は自己改革ができるのか?」Can The NUG reform itself? ・・・他では読めない興味深い記事だと思う。



※Frontier Myanmar は手厳しいが、この内務大臣の経歴を見ると、NLD の次のリーダーに相応しい人のようにも思えてくる。PDF の信頼が厚いのなら尚更のことである。(末尾「参考」、参照のこと)


下が、SSTF のFBページのアドレス。一見して、胡散臭い印象。自動翻訳で見ると、スローガンは「市民的不服従から武装闘争へ」だと思われる。翻訳がイマイチなので、定かではないが、住宅や新型の携帯を懸賞にして、資金集めの無尽でも主催しているようだ。こういうものに、本当に、亡命政権の高官が関わっているのだろうか。



念のため。ざっと検索してみたが、SSTFを取り上げているメディアは、Frontier Myanmar 以外には見当たらなかった。同誌のスクープ記事だとも言えるが、珍しく、あやふやな書き方をしている箇所もいくつかあり、少しだけ眉に唾をつけて読む必要があると感じた。


<了>


参考


U Lwin Ko Latt の経歴について



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