top of page

本日の表紙~「大陸弾道弾?ジンラックとトニー、トゥクトゥクのポリテック」(週刊マティチョン)

akiyamabkk

週刊マティチョン6月25日~7月1日号

見出しを直訳すると


「急カーブするミサイル、蟹とトニー」


何のことやら、という感じだが、蟹は「プー」、ジンラック前首相の愛称。ではトニーとはだれか?兄のタクシン元首相のことである。


なぜトニーかというと、タクシン氏が「トニー・ウッドサム」というペンネームで、音声配信アプリを通じて、たびたび現政権を批判するメッセージを発信しているからだ。


トニーというのはタクシン氏のアメリカ留学時代のニックネームである。担当教授がタクシン氏の名前をちゃんと発音できないため、トニーと呼ぶようになり、それが留学期の愛称となったのだそうだ。ウッドハウスは滞在していたホテルの名前。合わせて、 Tony Woodsome 。


フォロー数は18万人を超えている。政治経済をテーマとする固い内容であるし、メンバー登録には既存メンバーの紹介が必要であることを考えれば、国を追われて15年がたつ政治家としてはなかなかの人気ではないか。

タクシン氏のクラブハウスページ

また、タクシン氏がアプリで何か話せば、※Voice TV やマティチョンTV がすかさず報道するから、支持者としてはクラブハウスに登録する必要もないのである。むしろあえてフォローするのは忠誠の証ではないか?  


※Voice TVは、タクシン氏の息子が経営するテレビ局


タクシン氏の話の内容を少し聞いてみたが、いずれもとおり一片の外野からの政権批判で、この国をコロナ危機から救う秘策があるとも思えない。「いいように批判されて、コロナ対応では、どこの国の政府も苦労しているな」と感じる程度である。しかし、政権にとって脅威なのは、タクシン氏の政策提案よりも、彼ら兄妹の、いまだに衰えない人気なのではないか。


先の6月21日はジンラック氏の54回目の誕生日だった。その前日、フアランポーン駅前で客待ちする※トゥクトゥク10数台が、「ジンラック首相お誕生日おめでとう。遠く離れていても、心はあなたの隣にあります。お誕生部を一緒に祝いましょう」というポスターを掲げて誕生日を祝ったのである。ここまでは、タクシン氏の息がかかった政治家の仕掛けかと思われるが(そうではない可能性もある。この10数年間の政治闘争の過程で、タイの庶民は、そのくらいは自発的にやる政治的能動性を獲得している)、その後、ジンラック氏のラインやフェイスブックページには何万というお祝いのメッセージがあふれたと言う。


トゥクトゥクとは、小型三輪自動車のタクシーで、観光客用や、庶民の足として利用される。トゥクトゥクやタクシーの運転手に代表される都市下層住民は、政権時代、タクシン元首相の強固な支持基盤だった。


これが、「トゥクトゥクのポリティック」の意味である。また「急カーブするミサイル」とは大陸間弾道弾のこと。タクシン、ジンラック兄弟は現在ドバイに住んでいるので、「彼方から大陸を越えて飛んでくる政治的ミサイル」という意味かと思われる。 ICBM、Politic、などと、題名は派手に打ち上げてはいるが、本文コラムはいつものタクシン上げ、プラユット下げの紋切り型、少し退屈だった。だから、翻訳はやめておく。


ところで・・・。毎週金曜日に、当日発売の週刊マティチョンを書店まで買いに行くのだが、今回は、日曜日に行った。マティチョン誌が見当たらない。書店の人に聞くと「売り切れた」という。大通りを挟んで向かいの書店に行ってみたが、ここにもない。こちらの店員は、「今週はまだ来ていない。なぜだかわからない」という。どちらが本当だろうか?


回収されたのか、売り切れたのか、いずれにしても、表紙の人が原因だろうが・・・。


<了>


参考


bottom of page