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映画の映像的引用について

akiyamabkk


以下、2年前に書いたもの。


YouTubeで映画の名シーンや予告編を映画会社と契約して配信していたMovie Clips を Rotten Tomatoes が買収したようだ。以前のオレンジ色のロゴが青に変わりRotten Tomatoes の文字が入っている。サブスクライバー5870万人。


映画に関して話しをする時、映像がないと、どうしても隔靴掻痒という趣きになる。しかし、ヘタに映像を引用すると著作権侵害の恐れがあるし・・・と悩むところだが、ここから引用すればその恐れはない。みなさんも利用してはいかがか。


MovieClips + 映画名で検索すれば、だいたいの映画の名場面集が出てくる。もっとも必ずお気に入りのシーンが出てくるとは限らない。先ほども、引用したい映像を例示するために、「ミッドナイトラン」のお気に入りのシーンを探したがなかった。


「再婚した元妻のところに金を借りに行き、そこで実の娘と再会する」・・・というシーンである。デニーロは自分を恥じて娘と目を合わすことができない。娘は父親の顔を真っ直ぐに見つめてくる。思春期の娘の思い詰めたような清冽な表情が強く印象に残る素晴らしいシーンだった。もし映像が引用できれば、今ここでその表情をお見せできるのだが。これが隔靴掻痒・・・(笑)


だから今回「腐ったトマトのムービークリップ」から引用したのは、名作「大脱走」のラストシーンとなった。


バイクでの国境越えに失敗した独房キング、ヒルツ(スティーブ・マックイーン)は、収容所に連れ戻され、一緒に脱走した捕虜達が、ウィーン条約を無視したナチスにより大量処刑された事を知る。不敵な表情でナチスの新収容所長を睨むヒルツ。そしてヒルツは、仲間から放られた野球のグローブを受け取って、いつもの独房に胸を張って歩いていく。看守のドイツ兵が独房の鍵を閉めて立ち去ろうとすると、ヒルツが壁に投げつける野球の球の音が聞こえてくる。呆れ顔で振り返るドイツ兵。大脱走のマーチが被さりじジ・エンド。息を飲むほどにカッコいいラストシーンだった・・・と、こういう風に説明しなくとも、映像が引用できれば見ればそれでわかるわけだ。映像を見てください。


ちなみに、私が子供の頃、テレビで見た「大脱走」の吹き替えでは、捕虜仲間がヒルツにグローブを放る時に「ホイ、嫁入り道具」というセリフがついていた。クリップを見ると、オリジナルでは「ヘイ、ヒルツ」と言っているだけである。だとするとここは、翻訳者か声優さんの機転でそうしたという事だろう。ユーモアと不屈のヒロイズムが滲み出る見事な意訳だと思った。


<了>


参考 


Rotten Tomatoes Movieclios について https://en.m.wikipedia.org/wiki/Rotten_Tomatoes_Movieclips


ストリーム再生(埋め込み)による引用については以下


以下、同サイトの記事より


他人の動画を編集、使用するのではなく、単に動画のURLを貼る行為(例えば、埋め込みによる動画の引用など)は適法な「引用」と言えるのでしょうか。


ここでは、埋め込みによる動画の引用の適法性が争われた裁判例(大阪地判平成25年6月20日)を紹介します。


被告が自身で運営する「ロケットニュース24」というサイト(「本件サイト」)において、ニコニコ動画に違法にアップされていた原告が著作者である動画(「本件動画」)のリンクを無断で貼った事案において、裁判所は、被告の上記行為は公衆送信権侵害とは認められないと判示しました。


その理由は以下のとおりです。


  • 本件サイトにアップされた本件動画の再生ボタンを押した場合、本件動画は、本件サイトのサーバーを経ずに、ニコニコ動画のサーバーから直接閲覧者へ送信されるため、「送信可能化」または「指導公衆送信」に当たらない

  • 本件動画が違法にアップされていたものであることは、その内容や体裁上明らかではなく、また、被告は、原告から抗議を受けた時点でただちにリンクを削除していることから、第三者による著作権侵害を幇助したものではない

つまり、本件では、例外的に適法となる「引用」にあたるかを判断するまでもなく、そもそも被告による著作権侵害の不法行為がないと判断されました。


引用終わり

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