唱歌「子供の情景」(12) 〜夢
喧噪のカフェでひとり見る夢は
母さんの日傘睡蓮の夏
マネとモネをよく混同するので、あのパラソルを差した母親と幼な子の絵や「睡蓮」もマネかと思っていた。実際はモネ。この女給さんの絵はマネだから、上の短歌のイメージは、マネモネの混合物ということになる。
曲は、田中穂積作の「美(うるわ)しき天然」。乱歩のよく知られたフレーズ「現世はゆめ 夜の夢こそまこと」を借用して、勝手に歌詞だけ変えて改作した。はなはだ不遜な話しだが、みなさん、もうずいぶん前に亡くなってるからいいだろう。
マネのこの絵ほど、白昼(ま、夜だけど、起きてるから) 夢を見る人を、辛辣かつ美しく描いた絵はないのではないか?ルノアールの「猫を抱く少女」も夢をみているけども、彼女にあった無邪気さ、世の中から隔絶されて幸せを夢見る特権は、もうマネのこの少女にはない。
ちょっと思ったのは、マネが構図を壊してまで、少し年かさの小太りの女の人を後景に描いたのは、少女の将来を暗示するためではないか。もうしばらくすると、この少女も、太り気味のあの女の人のように現在の生活になれて、白昼、呆然するようなこともなくなるのだろう。つまり、それが安定した大人の顔になるということであって・・・。
マネについては以下、
エドゥアール・マネ(Édouard Manet)
<了>
参考・使用ソフト
Sinsy
ぼーか郎
楽譜制作ソフト