今日の一面。
◇「驚愕！一か月に死者2000～3000人の可能性も」「保健省、デルタ株により対策の修正を迫られる」「感染数倍増、死者数も新記録に」
※もちろんコロナのことである。昨日（7月2日）の感染者数、6087人、累計重症者数2007人、呼吸補助器を必要とする病人、累計で529人、死者数はこれまでで最高の61人。バンコクでの感染者数は2267人、死者29人。タイとバンコクの人口は、日本と東京の人口のそれぞれ半分くらいだから、一日に日本全体で12000人、東京で4000人以上の感染者が出たのと同じこととなる。検査数が違うという意見（あまり違わないと思うが）があるかもしれないが、死者数も、人口比を考えると、日本の感染ピーク時と同じくらいなのである。感染者はバンコクと周辺の県に集中している。
◇「野党、プラユット首相のサンドボックス政策を砂上の楼閣と批判」
※7月1日、プラユット首相がプーケットで「サンドボックス」モデルの開始第一日目を視察。プーケット島に限って、「コロナ対策優良国」１０か国のワクチン接種者に対し、隔離期間なしでの入国、滞在を認める。一定の地域を、サンドバック（土嚢）で囲うようコロナから防御して、段階的に開国を進めてくという意味であろう。プーケット島で成功すれば、サムイ島、パンガー島、ブリラム等と、徐々に観光客の受け入れを拡大する計画である。しかし、おりしも、コロナ感染が急拡大しており、この「開国プラン」は各層から批判を受けている。
プラユット首相が、プーケットの浜辺で、マスクを外して3閣僚たちと談笑したことに対しても、「50人以上のコロナ死を出しているのに不謹慎だ」という批判もでた。一回目のワクチン接種率が、まだ10パーセントに満たず、接種の６～7割が効果に疑問のある中国製ワクチン（シノパッドとシノファーム）という現状で、欧米首脳のようなパフォーマンスは時期早尚という意見も当然あるだろう。
◇タイの家計債務この18年で最悪～カシコーン銀行調査部
※7月2日付カシコーン銀行研究センターのリポートによれば、2021年第一四半期のタイの家計債務総額はこの18年間で最悪で、14兆1300億円、国民総生産の90.5パーセントに上った。2020年第四四半期の89.4パーセントより悪化した。支払いが遅れている債務は、880億1380万バーツ増加している。住宅ローンや資金繰り、生活費の支払いのための借金の焦げ付きが主な理由である。タイの中央銀行は、ワクチンが功を奏さず、観光業などの回復がなければ、タイ経済はさらに苦しい局面を迎えると述べている。プラユット首相が、緩和を急ぐ理由である。
◇「ペンギン、雨をおそれず、120日以内にプラユット首相をやめさせる」
※警報112条に違反した容疑で逮捕され長期拘留されていた、ペンギンことプリット・チワラック氏が、プラユット首相の解任を訴えるデモに参加した。「世の中を騒がしているわけでもなく、王室を批判しているわけでもない。保釈条件に違反していない」と述べて、保釈中の他の「人民党」リーダーたちと共に、ウルポン交差点から首相府までデモ行進した。この日は、赤シャツリーダーのチャトポン氏が組織する「我慢しないタイ人のグループ」も首相府に向けてデモ行進するなど、複数のグループが反政府デモに参加した。目抜き通りの交差点で、車を止めてクラクションを鳴らすデモなどもあったようだ。警察当局は、緊急事態宣言法、伝染病防止法、道交法など、あらゆる法律を動員して、デモ参加者を取り締まる方針で、すでに140人以上を起訴しているという。「人民党」リーダーの保釈が取り消されるのも時間の問題ではないか。
◇アメリカ政府の人身売買リポート、タイを要監視国に指定。
※アメリカ国務省が7月1日に出したTIP Report (Trafficking in Peersons Report) が、「人身売買対策において改善の努力はしているが、最低水準の基準を満たしていない国」として、タイを第二層圏の国に指定したという記事である。米政府が問題にしたのは、タイ警察内に人身売買業者の協力者がいることと（昨年、警察官が５人逮捕されている）、漁業関係の外国人労働者に対する扱いである。先日とったコロナ防止対策、レイバーキャンプのロックダウンも問題にされるのではないか。建設現場の臨時宿泊施設に住む労働者の大半は外国人労働者である。支援金を給付するとは言っても、狭い中にリスクグループである彼らを閉じ込めるのだから、キャンプ内で感染が広がるのは避けられないのではないか？この点は、タイのマスコミではなく、一般のSMS投稿者が指摘していた。タイ社会の「肉体労働者」に対する根強い差別感を感じずにはおれない。その投稿者は、「中流以上の国民が住むマンションで感染者が出ても、同じことをするのか？」と真っ当に怒っていた。
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