不定期テレビ日記〜2024年1月
トゥンサワン寺の朝焼け
2024年1月6日(土)
ノート New York Times の記事。シーファ病院の地下にハマスの司令部があり、人質もそこにいたことを証言する情報機関関係者の証言。これは多少ともガザとハマスを取材したことのある者にとっては、常識的な成り行きではないか?。彼らには、一般市民の命よりも重要な大義があるのだから、こうすることに大きな疑問を抱かないと思う。また、あの狭いガザで、わざわざ軍事的拠点と、市民ブロックを分けて、イスラエルの空爆に格好の標的を与えることに、彼らは意味を感じないだろう。だからパレスチナ問題は、どちらか一方に加担するのが難しいのだ。二カ国解決案に現実的可能性があった頃は、「解決案を支持する」という選択肢があったのだが・・・。ハマスの市民を標的とした虐殺的テロと、その後のイスラエルの、市民を巻き込んだ虐殺的空爆により、問題はいっそう、複雑になったと思う。
今回の惨事により、二カ国解決案が国際社会で再評価される動きもあるようだが・・・下は中東調査会のレポート
2023年1月14日(土)
タイ農村部の乾季の年中行事。田んぼの傍らに掘ったため池の水を抜いて、魚を網ですくいとる、あるいは掴み取る。コロナの影響で二、三年、水をぬいていなかったためか、今年は、大ぶりのナマズが多かった。主に、親戚の間で自家消費するが、1キロ、100バーツくらいで売ることもある。取れたばかりの魚を野っ原で、焼いたり蒸したりして食べる。むしった魚肉に、唐辛子の効いたナムチム(ツケダレ)をつけて、もち米に挟んで食べるのだ。ビールや焼酎も飲む。労働した後の「これ」は格別だろうが、自分は労働はせず、ビールだけ少し飲んだ。熱中症になるのが怖いのだから仕方ない。昔は、娘たちと競争でとって、ナマズのエラに指を切られで、その毒で指がジンジンと痛かったものだ。
2024年1月15日(月)
ノート 撮影、GoPro Hero 12。普通モードで撮っていると思っていたら、いつの間にか早回し撮影になっていた。村から、一番近いスーパーがある街道までおよそ8キロ、ママチャリで35分くらい。時速15キロほどだから、自転車の平均的スピードで走っていることになる。うちの村は、みなだいたい、車か、最低でもバイクを持っていて、「自転車であんな遠くのスーパーまで行く人間など見たこともない」・・・?と、噂されているらしい(笑)そんなはずはないのだが、人間というのは忘れやすいものなのだ。つい30年前の、携帯電話のない生活のことなど、自分も忘れてしまつている。農村のモータリゼーションに合わせて、田舎の道もよくなってきた。タイ政府は、幹線道路と村を結ぶ道を「農村幹線道路」(ターンルアンチャナボット)と名付けて、各地で整備を進めているようだ。道がいい割に交通量はそれほどでもなく、30分走って、対向車、追い越し車がそれぞれ10台前後、オートバイが2、3台というところだろうか。無駄使いという批判もあるまもしれないが、この道がなければ、雨季など人の搬送に何時間もかかって、かみさんの高齢の父親はもう何度も死んでいることだろう。以前「少数民族の村に道を通すと、文明に汚染される」と非難しているNGOの人がいた。自分は「それで幼児死亡率が下がるのならば、文明に汚染されたほうがいいではないか」と思った。少し次元の違う話だが、そんなことも思い出した。
2024年1月16日(月)
ノート 田舎に長期滞在して暇なので編集の練習をしている。ファイナルカットプロの細かい編集テクがやっと分かりかけてきた。また、孫が来月から春休みでこちらに長期滞在するので、英語を教えるつもり。だから、自分も日常会話を勉強し直している。以下の英語 サイトなどが秀逸。こういうサイトが自分の若い頃にあれば、もっと英語が上手くなっていただろう。もっとも、今や、AI の発達で、言葉の勉強そのものが必要ない時代になろうとしているのだが。
The People の記事から
ノート 台湾ナショナリズムを覚醒させた人、李登輝、とタイトルにある。タイの進歩派は大体において中国系で、中共支持の人が多いから、少しバイアスのかかった言い方になるが、台湾に民主主義を根付かせた人でもあると思う。(ナショナリズムというのは、彼らにとってはネガティヴな言葉なのである) 少し前の日本では、台湾支持=右翼だったのだから、隔世の感あり。これは、北朝鮮の拉致を主張する人=頭のおかしな右翼、だった事と軌を一にしている。今、拉致の存在を疑う人はいないし、中国よりも台湾が、より民主的な進んだ社会であることを疑う人はいないだろう。
2023年1月17日(水)
RDFの記事から
ノート Tik Tok は中国共産党の宣伝工作に使い勝手がいいらしい。短いメッセージを広範囲に流布させるツールとして、選挙キャンペーンなどに便利なのだ。だから、昨年のタイの総選挙でも、ネガキャン、ポジキャン双方によく使われていた。元々、共産党は、戦争よりも宣伝工作がうまいのだ。戦争になると、共産主義イデオロギーよりも、伝統的な民族主義の情念に頼らざるを得ないことは、ソ連=ロシアや、ベトナムも同じことだろう。台湾に対する中共のナショナリズムな、実質を伴わない政治的な付け焼き刃であり、台湾の台湾ナショナリズムは、実質的な情念としてあるとすれば、アメリカがベトナムに勝てなかったように、中国は台湾に結局勝てないのではないか。中国が台湾よりも、より進歩的なよい社会を築くことができれば、戦争との損得勘定から、台湾人が「平和統一」に傾斜することもあるのかもしれないが、それが不可能であることはハッキリしたように思う。
2024年1月21日(日)
ヤフーニュース
中国と処理水放出反対で一致 社民・福島党首、北京で共産党序列4位と会談
ノート 最悪だ。縁故左翼の典型。ようは、自分の立場、社会的地位を維持するには、これまでの人生のコネ、ツテを固守して、押し通すしかないのである。日本国民のためや、世界平和のためなどではない。自分が可愛いだけなのだ。
本当に、ため息が出るほど、愚か。今の中国と歩調を合わせようとする人を、自分は、進歩派だともリベラルだとも思わない。ただの惰性左翼。左翼陣営に属して、曖昧な正義を唱えていれば、世の中から喝采を受けた時代の、惰性で活動しているだけのように見える。それにしても社民党は・・・共産党は、さすがにここまで愚かではない。一応、党首を交代した。
交代はしたが、院政を引くのだろうし、党の体質も変わらないだろう。早速、新しい女性委員長が馬脚を表した。国民が共産党に不信感を持つのは、その美しいイデオロギーのゆえではない。党の作風に対してなのだ。なぜなら、我々は、共産主義の歴史から、手段が目的を、権力奪取のスタイルが、権力のあり方を規定することをもう知っているから。日本共産党が権力の座につくなどとは誰も思っていないが、党の統制体質に対する嫌悪感は根強いのだ。
2024年1月22日(月)
タイのお寺の中の壁には、時々、こういう絵が描かれていて、面食らうことがある。釈迦の一生を描いた教導画で、誕生から寂滅までぐるりと一回りして入口に戻ってくる仕掛けになっている。ツールスレイン政治犯収容所の生き残りが描いた絵がちょうこんな風で、稚拙なところがかえって怖い。
2023年1月23日(火)
ノート これと、ADOの「新時代」は、究極のアニソンという感じがするなあ。Lisa がファーストテイクで歌うバージョンも感動的だが、自分はやはり「ガンガンに来ている」こちらの方がいい。「鬼滅の刃」も見てないが、Demon Slayer という英題から連想するのは、「どろろ」の百鬼丸だ。予告映像を見る限りは、あの一種独特の暗さ、異常感覚はないようだが、その分、凡庸だが楽しく見れるのかも。以下は、ファーストテイクのバージョン。
ノート ちなみにこれが「どろろ」のテーマ(か、エンディング?)全然、ヒロイックじゃない。今、思ったが、あの「どろろ」の異様な暗さは、戦争を経験した人の暗さではなかったか。自分は今年還暦だが、それだけ生きてきて、あれほどの不条理を経験することはなかった。仕事で他国の戦争を垣間見ることはあったが、あとは、当時のことをヤワに想像することができるくらいで、所詮、我々の世代はそこまでなのだ。「戦争を知らない人間は半分子供だ」という大岡昇平の言葉を思い出した。
2024年1月24日(水)
タイのナンバーワン女優、ベラ・ラニーがスヴェンセンでバイトしていた頃。確か北欧系のハーフなので何不自由なく育ったのかと思っていたら、意外にも、それなりに苦学生だったよう。そういえば、この人には、腰の低さ・・・とまではいかないにしても、身についた人当たりの丁寧さ、みたいなものがある。基本的にテレビ女優で、映画の代表作がないのが残念。タイ映画は主演女優にテレビドラマのスターを選ばない傾向があるようだ。これは、契約の問題と(タイのテレビ俳優は、だいたいがテレビ局の専属俳優なのである)、あまり個性が感じられない美人女優が多いからだと思うが、この人などは、役柄によっては、よい味を出すのではないかと思う。
2024年1月26日(金)
◇ジャッキーのファミリースケルトン?
ジャッキー・チェンが中国共産党の走狗となり香港を裏切ったのは、息子の不行跡が原因という説があるが、果たしてどうなのだろう。一見平凡で幸せそうな家庭でも、タンスの中には不吉な骸骨が隠されていると、西欧のことわざに言うけれども、ま、普通の家庭にはそんなものはないし、あっても大したことない。ジャッキーのような、スケールの大きな背景を背負った人だからこそ、骸骨もとびきりに凶悪不吉なものになるんじゃないかと思う。
ジャッキーの政治的立場には失望したが、この人が、無声映画のヒーローの伝統を継いで新しい息吹を与えたアクションの素晴らしさは不滅である。コミカルな、パルクール的街頭アクションとでもいうか・・・ジャッキーのガニ股走りは、チャップリンのドタ靴走りを彷彿とさせるのだ。このあたりを区別しないと、民族解放戦線=ベトナム共産党=北ベトナムを政治的に支持するあまり、「ディアハンター」や「地獄の黙示録」を完全否定した本多勝一と同じ轍を踏んでしまう。くわばら、くわばら、桑畑三十郎。(笑)
2024年1月27日(土)
「UNRWA職員、ハマス攻撃に関与か 米政府は資金拠出を一時停止」(朝日新聞)
ノート これも、普通に当たり前にあることだろう。ガザ保健省なども同じことで実質的にハマス。国連がこれを認めた、というところがニュースだと思う。イスラエル側の情報にそれだけ信憑性があっだということだろう。物事の優先順位が違うのだ。ハマスに協力するつもりで職員になったわけではないにしても、国連の大義、建前など、彼らには、大きな心理的バリアとはならないと思う。
2024年1月28日(日)
He or she came from Surin. A good sign for the born-agaim ceremony to be held for Ta Sun in the afternoon. It's a shame that I forgot to donate some money
2024年1月30日(火)
ノート タイ国立フィルムアーカイブのサイトから。今月末二本立てで東南アジアを舞台にした名作を同時上映する。一作目はシンガポール映画「スルタンムハマッドマンガットの死」1961年公開なので、シンガポールがマレーシアから分離独立する前の映画である。「スルタンムハマッドは、海賊退治の遠征に勝利し凱旋するが、その時助けた女を妻にしてから、猜疑と嫉妬の泥沼に落ちる」みたいな説明だから、「オセロ」のような話だろうか。二作目は我らが市川崑監督の「ビルマの竪琴」。1956年公開なので、日本兵を演じた俳優は殆どが兵役に行っているか、銃後で戦争を経験した世代だろう。昔、ある日本の批評家が「日本の役者は兵隊と女郎の役だけはうまく演じる」と言っていたが、無理もない。戦前は、殆どの成人男子が兵隊に行っているのだから。女郎の方は理由がわからないが、「その頃、日本人は貧しかった」ということなのかもしれない。女郎にならないまでも、その心情はわかるのだ。ということで、リメイクは見ていない。自分と同じ世代の人間がひょこひょこ出てきて、ホンモノの兵隊を演じられるわけはないと思う。国立アーカイブの説明は丁寧なもので、市川崑を「大師匠クラスの日本の映画監督」とちゃんと表現しているし、原作者の竹山道雄の名前まであげている。今はWiki があるから、これはそれほど難しい作業ではないが、専門家あるいはマニアとしての矜持を感じた。二つともデジタル処理をされていて、映像も音声もずいぶんシャープになっているようだから、食指は動くが(童話みたいな綺麗すぎる話だが、「埴生の宿」のエピソードには感動した)、田舎に越してしまったのでいたし方ない。上映場所は、バンコクから鬼のように遠い国立アーカイブではなく、セントラルワールド、バンコクのど真ん中にあるショッピングセンター内のシネコンである。
2024年1月31日(水)
インターネット版 The Irrawaddy から
ス・・・スゴ。コールセンター詐欺の主犯、チャーター機で昆明へ強制送還。この警備の物々しさ!もう勝負はついていたが、ここまでやる理由はある。相手は少数民族ゲリラの一方のリーダーなのだから。ちょっと文革を思わせる光景。中国へのサービス、アピールとして、ここまで派手にやっている面もあるだろう。コールセンター詐欺、オンラインカジノのもう一つの拠点、シュエココを牛耳る少数民族が、フンタ=軍政からの離脱を言い出した理由がこれだろう。軍政にとっては中国の支援の方が大事で、「自分もいつ切られるかわからない」と思ったに違いない。