不定期テレビ日記〜2023年2月
2023年02月01日(水)
ノート 今日、2月1日でミャンマーの軍事クーデターからまる二年がたつ。民主派は、サイレントプロテストを組織する計画で、軍政側が弾圧を強めているようだ。写真の女性は、SNSを通じて抗議行動を呼びかけていたとキャプションにある。首都ネピドーで、ある民間の研究所に勤めていた人だから、あの国の再建のために大事な人材だろう。軍政は、高級軍人たちの個人的な野望と引き換えに、国の将来を殺しているのだ。改めて「国賊」という言葉が頭に浮かぶ。
この無表情で節目がちの大人しそうな女性が、どういう気持ちで写真を撮られているかを考えると、イヤーな気持ちになる。最近、反軍制派のサイトに、よくこういう逮捕写真が掲載されるが、押し並べてみな無表情である。プノンペンのツールスレイン虐殺記念館にある写真を思い出す。何百枚もの写真のうち、泣き顔で苦痛を訴えている写真は数枚だけだった。ああいう状況では、人間は無表情にならざるを得ないのだろうと思う。
それにしても、逮捕時の写真が、反体制派のサイトに掲載されるのは、いったいどういうことか?軍政内部に内通者がいるのか、あるいは軍政側が、見せしめのために、どこかで写真を公開しているのか。
2023年02月06日(月)
ノート ジョン・バエズのインタビュー。インタビュアーは音楽ジャーナリストというよりも活動家っぽい。「公民権運動、ベトナム反戦世代のミュージシャンはリスクをとって政治参加したが、ライブエイドは参加しない方が、ミュージシャンのキャリアにとってリスキーだった」と率直に語っている。言い得て妙。
2023年02月08日(水)
ノート 素晴らしい朗読。声色もいい塩梅。昔、教科書で習ったが、ずっと「オッペルと象」だと勘違いしていた。のんのんのんのんのんのん、という脱穀機の音と、「サンタマリア」と白象がつぶやく事だけを覚えていた。寓話は資本家批判だろうが、宮沢賢治版「動物農場」だとも言えそうだ。「狡猾に巧言によって騙す」という意味では、後者の方により近いかもしれない。「白象は私のカミさんのようである」とも思った。その場合、オツベルは私だ。
2023年02月09日(木)
◇アニメ版「動物農場」(1954)の予告編
ジョージ・オーエルの共産主義批判の寓話「動物農場」のアニメ版。なかなか良くできている。エンドマークの後どうなるかが知りたいが、おそらく理想主義的なロバは、革命を防衛するためにロベス・ピエールのような恐怖政治を敷くのだろうな。
オーエルの原作は、受験勉強の対訳リーダーで読んだような気がする。アニメで見返すと、子犬の頃に親から離して思想教育した犬を忠実無比な親衛隊に仕立て上げるなど、黒豚の独裁者ナポレオンがやった事は、まさに、後年、カンボジアでポルポト派がやった事であり、その先見性は薄気味が悪くなるほどだ。
アニメは原作をかなり脚色していて、一応、勧善懲悪の結末にしてはいるが、独裁者が倒れても希望が見えてくるわけでなし、なんとなく、見せ物小屋映画「フリークス」のラストを連想させる。虐げられた者が復讐を果たすカタルシスはあるが、根本的な解決方法はなく、この後の歴史においても、同じような復讐劇が繰り返されるだけだろうと思わせるのだ。
スタジオジブリが日本で配給していて、「左翼のはずの宮崎駿が」と意外だったが、現在の「労働状況と酷似している」と考えてそうしたようだ。以下、宮崎駿のインタビュー。このアニメーション映画の公開は今から69年前で、ディズニー以外の長編アニメーションの古典的作品が幾つも作られた時期だと言う。その辺りの事情にも宮崎は触れている。
最近、夜、寝ながら小説の朗読を聞く事にしていいて、昨夜は宮沢賢治の「オツベルと象」を聞いて感動した。そこで何となく「動物農場」の事を思い出し、少し調べて見ると、アニメ版をスタジオジブリが日本で配給していたことを知った。
2023年02月10日(金)
ノート 「向き合う」という言葉が気持ち悪い。「向き合う」というのは多分、「真剣に解決策を考える」という意味なのだろうが、この言葉を使う人は、真剣に解決策を考えていない感じがする。雰囲気を出しながらお茶を濁すための、便利なマスコミ用語か。例えば、日常生活で、娘が父親に、「お父さん、私とちゃんと向き合って」などと言えば、父親はぷっと吹いて、「お前、何か悪いもん食った?」と言うだろうし、ドラマなら、そういうセリフを娘に言わせる脚本家はヘボなのだ。
ノート トルコの地震でタイ人女性が一人亡くなった。北部出身の29歳の女性で、地震のあった地域で古式マッサージ店に勤めていた。
彼女の母親がつい最近見た夢。
家の前で、子供の頃の娘が砂遊びをしていた。「どうしてそんなところで遊んでいるの?」と聞いて、少しよそ見をして、またそちらを見ると、娘はもういなくなっていた。
こう言う時によくある、なんのヘンテツもない予兆夢の話しだが、朝、そのニュースを聞いてから、ずっと、その話しが心に残っている。今日、遊びに来た孫娘や、娘たちや、カミさんと、彼女が重なるからに違いないが、ちょっと残り方が普通じゃない。昨夜、「オツベルの象」の朗読を聞いたからかも。亡くなった女性は一家の生計を支えていて、最近もお寺に寄進するお金を母親に送ってきたという。
この人も、異国の地で、お月様を見ながら、「ああ、辛いです、サンタマリア」とつぶやく事があったに違いない。
合掌
2023年02月11日(土)
映画「るろうに剣心」の主題歌〜Heartacke
映像は One OK Rock の公式YouTubeより。失恋を歌ったバラードだが、これなども悪くない。ボーカルのタカは、両親から受け継いだ血だろうか、今、こういう大時代な感情表現が珍しく似合う歌手なのである。そして、この人の眼差し、少し目が真ん中に寄っているのだが、これがミュージックビデオのカメラ目線にぴったりくる。向こうの女性が、pretty を連発する理由だろう。敬語が使える、ジャニーズ育ちの観客への礼儀正しさも好感度良し。こういう歌がこういう完成度で歌えて、加えて、パンクロック系の歌もものすごくうまいのである。B‘s のボーカルよりも上手いと思う。作詞、作曲も自分でできるし、一言で言って天才ミュージシャン。いつこのバンドが世界的に(本格的に)ブレイクするか、楽しみだ。
以下、One OK Rock が「るろうに剣心」で歌った主題歌をまとめておく。
2012年『るろうに剣心』『The Beginning』 2014年『るろうに剣心京都大火編』『Mighty Long Fall』 2014年『るろうに剣心伝説の最期編』『Heartache』 2021年『るろうに剣心最終章 The Final』『Renegades』 2021年『るろうに剣心最終章 The Beginning』『Broken Heart of Gold』
2023年02月13日(月)
「動物農場」、ポト派のサハコーを思い出した。
INTERVIEW: ‘They are away from their families, language, religion and culture.’
水泳日誌&糖尿日誌 2023/02/13
6ビートでブレイクスルーがあったよう。キャッチの時に蹴る同則キックを足首が水面から出るくらい膝を曲げて蹴ると、三回目のキック(同則)と水を後ろに押し出すストロークのフィニッシュが合うようになった。前に伸びている時に、体が沈んでいる側の足を跳ね上げて、次のキャッチのタイミングに合わせる。これを繰り返しできるようになった。今までは、足が手の動きについていけなくて、いつの間にかタイミングがずれていたのだ。明日からは、これに、息継ぎをつけて行く。タイミングを合わせるため、キックをかなりオーバーに打っているが、呼吸がスムーズにできるようになるまでは、これで行くつもり。それにしても、こんな簡単なことができず、2年以上試行錯誤していたことに呆れてしまう。「何事にも先達あらまほしき事かな」だが、元々、コロナの渦中、糖尿の悪化を防ぐために始めた事で、もしインストラクターの指摘で簡単にできてしまったら、随分前に水泳に飽きていたかもしれない。結果オーライと言うことか。
最近、朝の血糖値が上がっているので、強い方の薬を半錠から一錠に戻したら、久しぶりに低血糖の症状が出た。胸のあたりが痒く、体に力が入らなくなったが、ブレイクスルーがあった気配なので、我慢して自撮りしてから、急いでセブンイレブンへ。バナナ、菓子パン、キットカット、ハイチュウを買って部屋に戻る。糖分を取る前に血糖値を計ると、なんと50台だった。計器の間違いかと思いもう一度測っても60台。明日から、強い方の薬は、朝は半錠に戻し、夕食前のみ一錠飲むことにする。特に、午前中に運動を入れる時は要注意。
戦艦大和(1953年)※映画感想文
今から70年前に作られた映画「戦艦大和」。結構よかった。特撮の拙さ(当時としてはすごくお金をかけたらしい)も白黒なので目立たないし、何より役者が良かった。冒頭の「大和特攻作戦」を決める会議以降は、藤田進を除いて、有名な役者は出てこないが、この無名の役者たちがいいのである。(公開当時としては、それなりに名の売れた人たちなのかもしれないが・・・有賀艦長役の人は、時代劇の悪役でよく見た人のような気がする。)
セリフをすっと普通に喋るのがいいですね。訓示などもサラリとしていて、それがかえってリアルである。終戦から8年しかたっていないのだから、出演者の半分は兵役経験者であろう。サマになっているのが当たり前か。一昔前は、「日本の役者は、兵隊と女郎はうまく演じる」というのが定説だった。また、Wiki によれば、藤田進演じる大和の副艦長が映画の監修をしたのだそうだ。だからかどうか、艦内の描写がリアルな代わりに、海軍への批判は抑制されたものとなっている。原作は吉田満の「戦艦大和の最期」。
海軍と言えば、先日、こちらの古本屋で「永遠のゼロ」が均一20バーツ(70円)の特売棚に出ていた。試しに買って読んでみたら、これはまた世評とは違い、大変に辛辣な海軍批判の本だっら。我々のような戦争を知らない昭和世代には、阿川裕之などの影響で「海軍は陸軍より開明的」というイメージが強い。この本を読むと、海軍も陸軍に負けず劣らず、ひどい組織であったことがよくわかる。
映画化もされているようだが、役者の演技に期待できないので見る気になれない。最近の役者は「抑えた演技のつもり」で、実は「思い入れたっぷり」に、セリフを言う人が多く、そのワザトラシサが見ていて疲れる。(高倉健と「北の国から」の悪い影響だろう・・・笑)特に、ああいう特攻隊の出てくる映画で、海軍批判の部分は長くなるから省略され、作り物くさい人間ドラマの方を、ああいう演技で見せられるかと思うと・・・。この映画のようにサラリとやってくれればいいのだが、原作自体が思い入れ過多気味だから、それも無理な注文か。
話しが逸れた。この映画のラストシーン、海に投げ出された若い海兵が、何かの残骸につかまて、沈没する大和を見つめながら、「死にたいのか、楽になりたいのか。ここまで生きてきて、今、ここで死んでいいと思うのか、生きぬけ、生き抜くんだ」と呟き続けるのだが(おそらく大和の生き残りだった原作者自身の言葉だろう)、このシーンを見て、反文革映画の「芙蓉鎮」のキャッチコピー、「生き抜け、豚になっても生き抜け」を思い出した。収容所へ送られる時、夫が妻に言い残す言葉だが、プーチンのウクライナ侵略に駆り出されたロシア兵だって、今、似たような言葉を胸の中でつぶやいているだろう。
一時期、日本の革新勢力が手本と仰いでいた国々は、半世紀以上、社会主義体制下にあって、民主主義も、人権も、国連中心の平和主義も学ばなかったのである。社会主義と呼ぶのさえ憚られる、グロテスクな一族支配に堕落した国さえお隣に存在する。それらの国々と比較するまでもなく、日本という国の戦後の歩みは、概ね大和と共に沈んだ兵士たちの鎮魂に値するものだったと思う。これは、「民主国家日本に生まれてきてラッキー!」というお気楽世代の日本人の正直な感想。(笑)
公開後70年を経過しているので、パブリックドメイン入りしたと見做して、以下、フルムービーのアドレスを貼り付けます。前後編に分かれています。
2023年02月15日(水)
ノート ミャンマーの軍政が、今年予定されている選挙で、電子投票によるオンライン投票システムを導入する。システム構築には、ロシアと隣国インドが協力したという噂。近々、僧侶2000人を動員して、電子投票のデモンストレーションを実施するという話も。内戦によって、全国に300以上あるタウンシップのうち、およそ3分の1で投票所の設置が危ぶまれている事から、オンライン投票による投票率の底上げ、もしくは、投票率が異常に高かった場合の言い訳作りを目論んでいるようだ。選挙結果は当然のように操作されるだろうが、一応、国際社会に強弁するための材料は必要だ。気球問題に対する中国の対応を見ても、「いかに見えすいた言い訳でも強弁しないよりはマシ」とこの種の権力者、権力機関は考えるるのである。当然、アノニマスなどがハッキングを試みるだろうが、その対策はロシアがやるのではないかと、この記事は推測している。
2023年02月19日(日)
ノート ジョン・バエズには、今、ロシアでこれを歌って欲しい、と思うが無理な注文だろう。左翼縁故主義のフィルターを外して、今の状況をベトナム戦争にあてはめると、ベトナム=ウクライナ、アメリカ=ロシアである事は明らかなのだが。少なくとも、当時のアメリカには反戦歌を歌う自由はあったわけで、皮肉な事に、あの頃正義の側にあると思われていた、ベトナム、中国、ロシア(ソ連)に、今、その自由はないのである。
ノート The First Take を覗いてみたら、相変わらずやってますな、岡崎体育。端的におもろい。気持ちが軽くなる。コミックソングに聞こえるが、だいたい、我々の普通の生活がコミックソングみたいなものなのだ。特に関西人は、そういう乗り切り方が上手いようだが、これは「黒人はダンスが得意」的な偏見かも知れない。ワンオクと共演していたので、綾香という人を少し期待して聞いてみたが、歌い出しを聞いて、「なんだ宇多田ヒカルかい」と思ってやめてしまった。ここまで日本語を変形するのなら、どうせならワンオクみたいに、大半を英語で歌えば良いのに、とも。以下、The First Take のアドレス。
2023年02月24日(金)
ノート 良いミュージックビデオ。見ていて、なんだか息が詰まるようだ。最後のシーン、母親と男の子が顔を見合わせて少し笑顔になるところでは、何故か涙が出た。これ、MVなしで聞くと、ウィツトが効いた、気軽に楽しめる曲なのだが。自分は中途半端な移住者で、タイで日本人は名誉白人みたいなポジションだから、こういう経験をした事はないのだが、娘たちを日本に住まわせたら、あるいはこういう目にあったかもしれない。Stand out fit it というのは、矛盾した、殆ど不可能な事を要求されているという意味だろう。
以下、コメント欄から、あるアジア系アメリカ人の代表的感想、
Gloria Klassen
As the child of Asian immigrants, this song brought tears to my eyes. I remember the push and pull of trying to fit in, rejecting my roots and culture just so other kids might like me, pushing my parents away because I thought I knew what I wanted. Now, I'm in my 30s and I can't thank my parents enough for what they did for me. Working two jobs from the crack of dawn to late in the evening. Moving to a foreign land and having to learn a completely new language and being away from everything familiar and safe just so that they could give my brother and I the best chances in life, the best opportunity. I'm so proud to be their daughter. And thank you OOKR for this beautiful anthem that speaks right to my heart.