top of page

不定期テレビ日記〜2022年7月

akiyamabkk

2022年7月2日(土)




ウクライナ史のインターネット講義。YouTubeの歴史サイトの有志が、ロシアのウクライナ侵略を受けて30の論文を緊急読破し、ウクライナ戦争の意味を理解するという目的のために、簡略化しすぎず、詳しすぎず、適度に詳細に、両国の歴史を紐解いてくれている。まだ、全6回のうちの2回目までしか聞いていないが、この種の歴史サイトとしては抜群に面白く、単なる蘊蓄のためのまとめサイトを超えて、歴史を見る立場も明快である。散歩の時、聴きながら歩くのに最適なサイトを発見した。目が疲れないし、勉強にもなる。ただ歩いているだけでは飽きてしまうし、こういうのを聴きながら歩くと、「区切りのいいところまで歩こう」となって、余計に歩いたりする事もあるのである。



2022年7月5日(火)




和楽器バンドのニューアルバムから。7月1日リリースだから4日間で150万再生行っている。原曲はボーカロイドが歌っているから、これはカバーであるが、いつも通り完璧であり、素晴らしい。


ひょっとして作詞もAIがしているのか。今や、AIが俳句を作る時代である。冒頭近くの歌詞、そうか、女の子にとって前髪は煩わしい嘘の象徴なのか、と思うし(「ウザったい」、と言わずに奥ゆかしく、「煩わしい」、と言っているところ、好感・・・笑)、「どうして愛なんてものに群がりそれを欲して生きるのか?今日も泳いでいる夜の電車が通り去って行く」というフレーズは悪くない。夜の電車は、確かに、スーツと泳いでいるように、あるいは水族館の水槽が、ゆっくりと横に移動して行くように見えるのだ。ひょっとしたら、現代詩のフレーズを適当にインプットしておいて、AIが符割に合わせて並べたのを、人間がチョコチョコと直して出来上がり、という歌詞ではないか。しかし、それでも、それなりに心には響くのだから不思議な時代になった。


和楽器バンドのボカロカバーの常で、字幕を見なければ、歌詞は半分も理解できない。この割合は、英語の歌を初めて聴く時と同じである。


以下はオリジナルのボーカロイドバージョン



2022年7月8日(金)


安倍元首相が銃撃された。心肺停止の情報もある。戦後日本の政治的暗殺事件としては最大のものになるのではないか。拳銃を使い確実に標的を撃っているのだから、何らかの背景があるプロの仕業である可能性が高い。安倍首相を右翼が狙ったとは思えないし・・・。とにかくこの事件で、日本の色んな事が変わって行くだろう。それぐらい、国内的にも国際的にも衝撃は大きい。


追記 散弾銃らしい。これは異常者の犯罪である可能性も出てきた。


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


メディアは犯人のSNSサイトを調べたろうか?政治的な傾向がある、ローンウルフ的異常者の犯行ならば、何らかの声明を出しているはずだ。そのような人格の場合、メッセージを出さないことの方が、むしろ理屈に合わない、平仄の合わない話しになる。こういう事はネットの暇人の方が迅速に動いているかも。犯人が、トラビスだとしたら、何から影響を受けたのか。こういう人の場合、インプットされる概念は何でもいいのである。「タクシードライバー」のトラビスの場合、偶々、10代の娼婦に出会った事が、彼の歪んだ自己実現のための行動目標となった。もし犯人がトラビス的人物としたら、元首相に対して、極端な馬鹿な事を言いつのってきたインフルーエンサーたちは、多少の責任を感じるべきだろう。例えば、誰かをヒトラーと非難する場合には、誰かがその人をヒトラーと見做して政治的な過激行動をとることも覚悟して発言すべきだと思う。日本もそういう社会になりつつあるのだから。また、これは、悲劇を防ぐため以外にも、議論のレベルを保って、民主的な札入れで政治的権力のありかを決める、我々のシステムを維持するために必要な心掛けだと思う。


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


散弾銃ではなく拳銃?!それならまた話が変わってくる。なんだ、この報道の混乱ぶりは。しかし、嵩張る散弾銃で演説中に元首相に近づくのは、流石に難しいだろうから、拳銃の方が辻褄はあう気もする。


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


安倍元首相の死亡が確認された。右からの報復テロが起こる可能性がある。野党側は、明日の街頭演説を控えるべきかもしれない。トラビスは止めようがないのだから。襲撃とまでは行かずとも、暴力沙汰が起こる可能性は高い。選挙制度に対する国民の信頼が揺らぐ事態になりかねない。


賛否はあるが、安倍元首相は、日本で一番長く首相を務めた人、つまり日本国民に何度も選挙で国政を託された人なのだから、海外から要人を呼んで国葬にすべきだと思う。しかし、こう警備の不手際が白日の下に晒されては来る方も不安を持つかもしれない。


ウクライナ戦争といい、元首相の暗殺事件といい、戦後日本の常識では予想もつかない事態が次々と起こっている。この事態を「安倍が招いた」とでも言いたげな報道があるようだが、彼らの報道がトラビスを行動に駆り立てた一因かもしれないという反省は彼らにはないようだ。


合掌



2022年7月8日(金)


Late former prime minister saw the fates of Taiwan, Japan as bound together


https://www.rfa.org/english/news/china/abetaiwan-07082022144154.html?fbclid=IwAR0T3aemG4Y2s3yQz7JavweEK8sWJ87xRMqVMsZbHM12O58Q3Kz15p3GZ1E

一昔前、台湾を支持するのは右翼で、北朝鮮の日本人拉致を言い立てるのは極右の変人だった。自分もそう考える一人だったが、今の変わりようはどうだ。このような世の中の変化に大きく貢献したのが、殺された元首相だった。安保闘争を「我々の敗北」とノスタルジックに語る世代が、この元首相をダカツノゴトク嫌ったのは当然だろう。しかし、少し遅れて来た世代は歴史を率直に見て「彼らが勝たなくて日本は幸いだった」と思うし、そんな事に関心のない若い世代は就職氷河期が終わった事を、直近の世代と我が身を比べて素直に喜んだ。これが亡くなった首相の政権が長く続いた理由だろう。


改めて、合掌。




2022年7月9日(土)


ノート フランスの新聞は「特定の宗教団体」とは統一協会と書いたらしい。文春も書いたということだが・・・オンラインで書いたのか。ざっと読んだ限りは、まだ特定していないようだが。しかし、どう見ても奈良県警の警備はひどい。タイ空軍でMPをやっている娘がビックリしてラインしてきた。


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


ノート 現代ビジネスが書いている。統一協会で決まりのようだ。この記事を読むと、文鮮明、金日成会談以降も、おそらく北へのルートとして、保守政治家との関係は続いていた事がわかる。1980年代、早稲田大学のノンセクトラジカルは、「嫌いだ原理友の会」というグループを作って反原理、反統一協会の活動をやっていた。久しぶりで名前を聞いた。なんだか懐かしい。ウィキによると、文鮮明の何人目かの妻を代表に幾つかの分派が活動を続けているそうだ。アメリカの右派系新聞、確かワシントンタイムズ(ポストではない)も統一協会系の新聞だと思う。


下は、ウィキペディアの文鮮明ページ。



2022年10月11日(月)


ノート 何となく気持ちが沈む。やはり、あれほどの長期間、選挙で国民の信託を受け続けた人が、ああいう死に方をした事にショックを受けているのだろう。民主国家において、ある意味、天皇よりその存在の意味は重たいのだ。我々は、天皇陛下を、我々自身で選んだわけではないのだから。何やら、この事件が、日本が本格的凋落に向かう(もうかなり凋落しているが)象徴的事件になるような気もしてくる。


だからと言うわけでもないが、和楽器バンドの Sakura Rising 。エミー・リーと鈴華ゆう子がリモートで共演するこの歌は、スタジオ録音より、ライブの方が断然いい。そういうバンドも近頃珍しいのではないか。






タイの日本語学習サイトに載せられた追悼文。在任期間が長かったせいか、亡くなった安倍元首相はタイでもよく名前が知られているし、まあまあ人気がある。「日本軍国主義を復活をさせアジア侵略を企む悪辣な権力者」なんてイメージは全くない。第一、軍国主義を言うなら、タイは数年前に民政移管したばかりで、現在の首相はクーデターを指揮した元陸軍総司令官である。「軍靴の足音」なら聞こえっぱなしの国なのだ。(笑)


追悼文には、タイ人のビザを免除し日本旅行が容易になったことへの感謝(以前は書類やら身元引き受け人やら大変だった)、アベノミクスという日本経済の再建策について、それから、リオ五輪閉会式でマリオの姿をして現れた元首相が「とってもファンキー」だったと記されている。日本好きが集まるサイトでもあり、また、あのようにして亡くなった他国の元首脳を誹謗するようなヒジョーシキなタイ人はまずいないので、コメント欄は元首相を悼むコメントで埋められていた。


おそらく、これが、東南アジア諸国の一般的な反応だろう。



2022年7月12日(火)


ノート 先程、カンボジアの知り合いとラインで話しをしたら、あの国では、この三日間、政府機関に半旗が掲げられ、一昨日は、禁酒令が出て、国民が喪に服したと言う。中国の方へ行ってしまった国と思っていたので、少々驚き、嬉しくもあった。和平を調停し、内戦からの経済復興を支援した日本の事を覚えていてくれたようだ。在任期間の長かった元首相の影響力という事も、加えてあるだろうが、非業の死を遂げた人に同情するのは、人間として自然な感情なのだろう。ああいう亡くなり方でなかったら、ここまでの追悼の手厚さはなかったと思う。



2022年7月19日(火)


ノート 朝日の安倍批判川柳が問題になっている。安倍批判は自由だが、川柳のレベルの低さに唖然とする。選者の選句能力にも疑問。元朝日の記者で天声人語を書いていたというから、お手盛りで選者になったのだろう。何の捻りも工夫もなく、ただ政治的なポジションを表明するだけなら、川柳にする必要はない。むしろ、憎悪を表明する隠れ蓑に川柳を利用している感すらある。だとすれば、知的余裕と寛容さ信条とする文芸に対する冒涜だろう。最近思うのは、進歩派と言われる人たちの知的劣化と教養の欠如だ。川柳は文芸であってアジビラではない。そんな事すら分かっていないようだ。



2022年7月21日(木)


ノート ゼレンスキー夫人のアメリカ議会での演説。戦争の犠牲者にフォーカスした効果的な演説だった。オレナ夫人は「平和を希求する母親の一人として」武器の支援をアメリカに感謝し、更なる武器援助を求めている。平和を希求する者が武器を求めるのは自家撞着のようだが、現に、射程の長い精密誘導ミサイルがウクライナに届いた事で、ロシアの民間施設への攻撃は劇的に減っている。このロシアによる民間人への攻撃は、戦略爆撃、後方の民を叩く事で敵の戦意を挫くためのもので、広島、長崎に原爆を落としたのと同じ考え方である。前の戦争の場合、先に手を出し他国へ侵略したのは日本だが、ウクライナ戦争では、ロシアが一方的に他国を侵略し、民間人を殺すことによって屈服を強いているわけだ。これほど明白に非道な行為はない。



2022年7月22日(金)



川柳の作りかたガイド。私も一句、ニ句。お粗末。


「心肺停止!」を渋谷で尻に敷くJK 万斛 ホームレス古新聞に知る悲報 では太


以下、例句には、こんなのがあった。みなさん私のより格段に上手いが、これが投稿して入選する川柳の普通の水準だと思う。


あかんべえしてするすると脱ぐ国家 石部明 削除キー確かに断末魔を聞いた 浪越靖政 花束は楽屋で水に飢えている 浪越靖政


ではでは



2022年7月26日(火)



実話。Tillというのは、アメリカ南部で、リンチされ殺された黒人少年と、その母親の苗字。葬儀の際、彼女は「彼らが私の息子に何をしたか見てもらいたい」と敢えて棺の蓋あけさせ、その凄まじく破壊された遺体の顔写真が全米に衝撃を与える事になった。母親はこの事件で公民権運動の闘士となり、人種的暴力と法の下の不平等(犯人は全員白人の陪審で無罪、一事不再理の原則に守られて、判決後殺した事を公言していた)を告発する語り部となった。母親の執念が歴史を動かした一例だろう。


下のアドレスはタイム誌制作の小ドキュメンタリー。少年の遺体の写真が出てくるが、確かに酷いものだ。人種隔離バスで黒人席に乗る事を拒否し、裁判闘争を始めた黒人女性(Rosa Rarks)も、この写真にショックを受けて、公民権運動に目覚めたのだという。「なるほど、歴史というのは、そんなふうに繋がっていくのか」と思った。


The Body of Emmet Till / Photo 100/ Time https://youtu.be/4V6ffUUEvaM



2022年7月27日(水)



ノート ミャンマーで民主活動家四人が国家反逆罪で処刑された。カンボジアのフンセン首相や、中国などクーデター政権を支援する国も含め、国際的な処刑回避の嘆願があったにも拘らず、押し切った形だ。スーチー女史を自宅軟禁ではなく、劣悪な環境で悪評高いインセイン刑務所に収監した事といい、軍政は、過去の融和政策から、悪い方に教訓を学んだようだ。そして、それが、彼らの権力維持にとっては正解である可能性もあるのである。


処刑は国民の反発を招き軍政の崩壊を速めるという見方があるが、軍が強硬な態度を見せる事で怖気付き、押さえ込まれる人たちも必ずいるのである。独裁政権が簡単には倒れないのは、こういう単純な人間心理によるところが大きいのではないか。誰も死にたくないし、とりわけ、犬のように惨めに殺されたくはないのだから。


奇しくも前後して、秋葉原事件の犯人の死刑が執行された。思想犯や麻薬事犯に死刑を適用する事には反対だが、殺人犯には状況によって死刑にされるべきだと思う。死によってしか償えない事がこの世にはあり、このケースはまさにそれに当たるだろう。現行犯で逮捕され冤罪の可能性も無い。自分が亡くなった被害者の親なら、死刑を強く望むだろうし、それ以外の判決には「司法による不正義だと感じるだろう。しかし、そのためには、日本のように司法の独立が担保されている国である必要がある。権力が恣意的に法を適用し、片端から政敵を処刑するのではたまったものではない。


フロンティアミャンマーの記事は、処刑された民主活動家の一人、元国会議員でラップ歌手だった Phyo Zayar Thaw の奥さんのインタビュー。(写真中、紙を持っている人。後ろに写っているのが Zayar Thaw 氏だと思う) 前回の選挙には出馬せず、歌手活動を再開しようとした矢先にクーデターが起き、反軍政の武装闘争に参加したようだ。(記事中、奥さんはその事を否定していない)


下のアドレスは、彼のコンサートの模様。向かって左、短髪の目の横にホクロのある人だろう。歌詞がわからないのでラップの良し悪しは分からないが、ビルマ語はタイ語より、単調なラップのリズムに乗りやすい言葉ではないかと思う。



しかし、国家反逆罪とは!「ナチスからのロシア系住民の解放」を口実にウクライナに侵略したロシアに「どっちがナチスだ」と言いたいのと同じ意味で、「どちらが国家反逆罪だ」と言いたくなった。


合掌



2022年7月28日(木)


◇コッポラのゴッドファーザーノートブック




コッポラ自身が、ゴッド・ファーザー原作の読み込みから、感想を書き込んだ本のページをバラバラにしての「ゴッドファーザーノートブック」の製作、そこから時代設定、キャラクター、映像イメージ等を取り出していく過程を説明している。映画を作るという行為がどれだけ膨大な知的作業であるか、その一端が垣間見える、映画監督志望者必見のクリップではないか。ゴッドファーザーは当初、ニューヨーク以外の場所(1970年台のカンザスシティという設定)でロケされる予定だったそうだが、コッポラが強行に主張して、ニューヨークロケに変更された。そのため映画のプロデューサー陣は狡猾なニューヨークマフィアに翻弄され大変な目に遭うのだが、この大部のノートは、予算を渋るパラマウントの重役を説得するためにも一役かったようだ。



2022年7月31日(日)


https://www.facebook.com/101557665614894/photos/a.106706045100056/183564444080882/


ミャンマーで日本人のフリージャーナリストが拘束された。ヤンゴン市内で市民の抗議活動を取材中に逮捕されたようだが、逮捕されないとでも考えていたのだろうか?それとも、最近のヤンゴン市内の抗議活動は、フラッシュデモというか、さっと集まって横断幕を掲げて練り歩き、警察が来る前に解散する形のものが多いから、そういうデモを追いかけていたのか。しかし、このニュースによれば、「平和的デモに集まった人々を当局の車両がなぎ倒すところを取材中に」逮捕された、とある。結構オープンに取材していたようだ。


先日、クーデター政権が民主活動家を処刑し、それを受けて、国民統一政府、国民民主連盟、少数民族グループが連盟で「非合法政権の武力による打倒は新しい段階に入った」という声明を出したばかりだ。対話による解決の可能性はますます遠のき、武力による対立はいっそう熱を帯びてきている。この人は、民主活動家と一緒に捕まったようだし、簡単に釈放される可能性は低いのではないか。軍政にとっての「余罪」も洗い出され、おそらく長期刑を打たれると思う。そうなると、ミャンマー軍部にルートがある政界フィクサーに頼るしかなくなって来るだろう。右翼でも何でもいいから、助けてあげて欲しい。


bottom of page