不定期テレビ日記〜2022年10月
2022年10月3日(月)
ノート 60 minutesのゼレンスキー夫人インタビュー。クリップは番組のオフィシャルサイトから。インタビューを全て公開している。
ウクライナ全土で、500以上の病院が攻撃を受け、150の学校が完全に破壊され900以上が被害を受けたという。これが戦争犯罪でないのなら、国際法は意味を持たないだろう。ロシアによる侵略の初期に、ウクライナ側が主張する民間の被害はCGの捏造映像だと主張する人がいて驚いた。ハリウッドの陰謀論映画に因んで「ワッグザドッグシンドローム」と呼んでいたが、情報化社会の生み出した「病気」の一つだと思う。
60 Minutes が中立的立場をかなぐり捨てて、明らかに、ウクライナ側に立った報道をしている事に驚くが、「それで正しいのだ」とも思う。ロシアがウクライナを侵略していることは明らかだからだ。ユダヤ人がナチスを虐殺したのではなく、ナチスがユダヤ人を虐殺した事は明らかであるように。こういう時、歴史的評価を待っていては、あるべきメディアの役割りは果たせないのであって、ホロコースト報道は「遅すぎた」方の実例ではないか。
2022年10月5日(水)
下の Radio Free Asia の記事を読んで
ノート NLDのメンバー20人が秘密裁判で禁錮二十年の判決を受け、財産を没収された。罪名は「反テロリズム法違反」だそうだ。ゼレンスキー大統領がよくロシアの侵略行為、特に民間人への攻撃を「国家によるテロリズム」と呼ぶが、これもまごう方なき「国家テロリズム」だと思う。
自分はタイに居て、こういう他国の話しだから朝飯前に忌憚なく意見を書けるが、もしミャンマーにいたら、たったこれだけの事を書いただけで、逮捕され禁固刑を食らう可能性があるのである。
タイにいても、テーマによっては同じような目に会う可能性がなくはない。だから、日本で「日本は北朝鮮並みの弾圧国家になった」などという人がいると「アホな」と思ってしまう。「じゃ、そういう事を言っている自分はどこの国にいるのか」と(笑)
2022年10月6日(木)
大谷翔平、16勝目ならず。5回一失点で負け投手になるのだから、今季を象徴する最終試合となった。ジャッジが62号を打ったし、アメリカンリーグMVP は難しいかも。
大谷はジャッジとジャッジに邪魔をされ では太 鶏頭となってチームのMVP 万斛
2022年10月7日(金)
ノート 児童24人が殺害された保育所から運び出される子供達の棺。死者は全体で38人(自殺した犯人も含む)となった。クスリ、銃、警察の腐敗、タイ社会の問題について様々の事が言えるが、今や、こういう事はどこの国でも起こり得るのではないか。タイが例外ではなくなったという事だろう。まだ、アメリカのように、ティーンエージャーがアソルトライフルを入手して学校で乱射事件を起こすところまでは行っていない。こういう事件を起こすのは、だいたい軍人か今回のように警察官である。しかし、若者グループの抗争でよく銃が使われるところを見ると、そういう事件が起こるのも時間の問題のように思う。小規模なものなら、一般人による銃器を使った無差別殺人は既に起きている。しかし、この棺のひとつ一つに、どれだけの愛情と労力が注ぎ込まれていた事か!自分にも孫がいるだけに、犠牲の大きさに圧倒される。
映像はボランティア団体、ルアムカタンユーから。配信はフェイスブックのニュースチャンネル「イーチャン」。
2002年10月8日(土)
水泳&観光日誌 2022/10/08
誕生日と気分転換を兼ねて、娘夫婦二組、我々夫婦、孫一人と7人でパタヤへ行ってくる。パタヤのビーチはあまり綺麗でないので、もっぱらプールで遊ぶ。このホテルにはプールが二つあって、この上の段に子供用のプールがあり、海を眺めながら泳ぐ事もできる。
Pattaya Long Beach Hotel & Spa というホテル。朝食付き一泊1200バーツくらい。今のレートで4000〜5000円くらいか。値段の割には部屋も広く清潔で、バスタブもありベランダから海が見える。(11階)名前に反してビーチは長くない。ネットで見ると一応4つ星なので、この値段はオフシーズン&コロナ後遺症プライスだろう。
会社の研修旅行が二組とインド人の団体が来ていて、ビュッフェ形式の朝食はかなり混雑していた。インド料理コーナーが別にあったのはベジタリアン用という事だろうが、インド人旅行者の重要性が増したからだろう。これはコロナ以前からの現象で、インド人の金持ちがタイへ招待客を呼んで、ホテルのビーチで結婚式をあげる事が、ちょっとした流行になっていた。時代は変わっていく。
クロール、平泳ぎで25メートル泳げるようになった事を確認。背泳ぎはいつまでも浮いていられる事がわかっているので試さなかった。平泳ぎは、向こう側でタッチターンして戻って来られる感触だったが、クロールは少し息が上がってまう。これは、プールの向こう側が水深1.8メートルで足がつかないので、泳いでいてちょっと怖かったことも原因かもしれない。慌てると息が上がるのである。
2日目にはだいぶん慣れて、折り返ししても大丈夫な気もしたが、カミさんを心配させるのも悪いのでよしておいた。(今回、撮影は自撮りではなくカミさん) それとプールが湾曲しているので、ターンがしにくいのである。やはり、クロールの息継ぎをまだまだ改善する必要がある事を確認できたのが収穫だった。
翌日十二時ごろパタヤ北にあるホテルをチェックアウトして、パタヤビーチ(セントラルパタヤにある)の浜辺で昼食を取り、凧揚げなどして遊んだが、二時ごろ大雨が来そう雲行きとなり大いに慌てて出発。十分くらい後に、案の定、バケツをひっくり返したような豪雨が降り始めた。途中、止んだり、晴れたり、また降ったりしながら四時半ごろバンコクに到着してニュースを見ると、パタヤ南が冠水して通行止めになったという。途中、欲張って、ウォーキングストリートに寄ったりしたら、危なかった。危機一髪。
2022年10月12日(水)
今日の川柳
カミさんに2日遅れの二本線 では太 コロナ禍の正体見たり水っ鼻 万斛 親リーに安牌ツモる無症状 では太
これで孫を除き家族全員が感染。 なんとなくほっとする(笑) パタヤでうつされたかな。
夫婦仲良い証拠かね相コロナ 万斛 ネガティブでセックスレスを疑われ では太
2022年10月14日(金)
ノート 体がだるくて水泳もできないし、ずっと落語をながしてウンウン唸りながら聞いている。平熱の低い自分は熱を計っても37度に満たないが、この体のだるさ、懈怠感は尋常ではない、久し振りに体験するものだ。無症状ではないかとタカ括っていたが、重症化のリスクが減ったとはいえ、やはりならないに越した事はない病気である。これから毎年、インフルエンザとコロナのワクチンを両方打つことになるかもしれない。問題はコロナワクチンの副反応をどれだけ軽くできるかだろう。
小三治の「うどんや」に感心した。何か特別の筋があるわけではなく、冬のうどん屋台での庶民生活のスケッチである。こういうものも落語には多いのだろうか。冬の夜、婚礼帰りの初老の男が、酔った勢いでうどん屋に絡んで、火に当たらせてもらった上、うどんも食べずに行ってしまう。男は、婚礼の新婦とは昔馴染みで、子供のない彼ら夫婦は、近所に住んでいた新婦を子供の頃随分可愛がったのである。その女の子が「さて、このたびは」と改まって大人らしい口上を述べた。その事に感動していて、商売っ気で酔っ払いを適当にあしらっているうどん屋に、くどくどと話しをするのである。
これにジーンと来た。落語の人情噺はあんまり好きではないのだが、相当に皮肉で笑える庶民生活のスケッチの中で、こういう普通の人間の普通の感慨(サンライズサンセット!)をさりげなく描いてみせるのが見事だと思った。そして、大笑いさせてくれて酔っ払いが去った後、「なんだ、この親父は、この話が誰かにしたかったから、うどん屋に絡んだのか」と思わせるのである。
2022年10月16日(日)
コロナ陽性5日目。咳は少なくなり、だいたい平常に戻ったような気がする。だんだん症状がとれていくというよりは、順繰りに別の症状が現れてくる、という感じだ。私の場合は、倦怠感と関節の痛みがまずあり、それがほぼ無くなった後、熱が出て、咳が出始めた。熱は上がったり、下がったりしたが、その都度、解熱剤で抑えた。今日、それらがほぼ収まったと思ったら、味覚に異常が出た。コーヒーの味がしないのである。インスタントコーヒーだが、普段はここまで酷くなかったと思う。そこで一首、
コロナかな、っと靴下を嗅いでみた では太 無味無臭のコーヒーコロナのせいにする 万斛
2022年10月19日(水)
チャップリンの半生を20数分で解説したビデオクリップ。だから、めちゃくちゃに早口だが、最近はオート字幕という心強い味方がある。95パーセントくらい正確に英語を書き起こしてくれる感じである。
この解説で、チャップリンが「殺人狂時代」の法廷で述べる「破壊兵器」が、ヒロシマ、ナガサキを意味している事が確信できた。
チャップリンは連続殺人鬼ベルドゥー氏に「破壊兵器を科学のスイを集めて作る連中と比べれば、私などは殺人のアマチュアに過ぎない」と語らせているのだが、このクリップの1722あたりで、解説者は「ユナイテッドアーティストの経営改善のためにも、チャップリンは街の灯のような映画を作るべきだったが、そうはせずに、アメリカ人一人一人にヒロシマの責任を負わせるような映画を撮った」という意味の事を述べているのである。少なくとも、あちらの人は、あのセリフから、ヒロシマ、ナガサキの原爆を想起したのである。あの当時、そこまで突き抜けてしまったら、「正義の戦争」の勝利に酔っていたアメリカに嫌われたのは当然だろう。
スターリンへの手放しの礼賛など(チャップリンが共産主義シンパだったという事は濡れ衣ではなく事実だった)、チャップリンもいくつも過ちを犯しているようだが、やはり、ものすごく先見の明があった人だと思う。また、我々日本人は、この映画の事を知って、チャップリンに恩義に感じるべきではないか。
コロナ&川柳日誌 2022年10月19日
昨日はまだ二本線。しかし、一昨日と比べたら、少し色が薄くなったような気がする。先にかかった家族の予想では、今日あたり陰性が出るだろうとの事。咳は相変わらずたまに出るが、寒暖の差の激しい最近の気候のせいかもしれない。
最近、ビニ本という言葉を思い出させてくれる人がいた。今日の川柳
ビニ本も10日過ぎればただの本 では太
ビニ本と言えば村西透、白夜書房。バンコクの高架鉄道のホームに「全裸監督」の看板が堂々と掲げられ、ベーカムを担いだ半裸の村西監督が(役者だが)、振り向いてこちらを見ているのを発見した時には驚いた。(Netflixの宣伝) そのせいか、最近では、タイの一般紙のエンタメ欄で、日本のアダルトビデオ紹介が人気コンテンツとなっている。これは喜ぶべきことか、悲しむべきことか。
ガラパゴス化してズリネタ化する祖国かな 万斛
2022年10月21日(金)
水泳&コロナ日誌
10日ぶりくらいにプールに入る。昨日からATK検査で陰性になっていたが、1日様子見た。しばらく泳いでいないで泳ぎ始めた時、すっとうまく泳げるようになる事がある。今日もバタフライで軽く体が持ち上がるようになった気がしたが、映像を見て見ると相変わらず左右のバランスが良くない。もう少し撮りたかったが、人が来たので断念
コロナ感染後、結局、PCR検査はせず、私もカミさんも、感染経験のある娘たちの指示に従って自宅療養。既にパンデミック指定から外れて自己隔離義務はないし、三日間待って症状が悪化しなければ病院に行かないように保健省も指導している。少し前まで、日本で効果なしと認定されたアビガンが配られていたが、今は、それもしなくなっていて、ファータライチョーンという保健省認定のハーブベースの薬を飲み、後は、咳止め、鼻汁止め、解熱剤の対症療法で対処。
本当にきつかったのは、陽性翌日の一日で、熱は上がらなかったが、体がだるく節々が痛んだ。一日でそれがなくなると熱が上がったり、下がったりし、それも峠を越すと、咳がひどくなり始めた。一番熱が上がったのは38度。自分は平熱が36度前後なので、これはまあまあ高い熱である。陽性後五日くらいでほぼ症状は収まり、「少し我慢すれば仕事に行けるくらいの風邪」という感じになったが、検査が陰性にならないので、始め5日分(一回3錠、毎食後三回)処方されたハーブ薬を買い足して、あと数日飲んだ。陽性後8日目くらいで陰性に転化した。
2022年10月22日(土)
ノート コロナになってよりいっそう字を読むのが面倒になり、おもにYouTubeで落語や朗読を聞いていた。井伏鱒二の「夜更けと梅の花」とか、志賀直哉の「清兵衛と瓢箪」「小僧の神様」、鈴木三重吉の子供用「古事記伝」とか、そういう昔のもの。新しいものは著作権がうるさいからあまり上がっていないのだ。「清兵衛と瓢箪」が思いの外感動的だった。YouTubeに上がっている朗読は玉石混交で、素人が久米明を気取って、自分では味があるつもりで読んでいたりすると、一秒で聴くのをやめてしまう。悪い意味で鳥肌が立つのだ。こういうのは、男性である事がほとんで、女性は素人でも、普通にスっと読んでくれるので、聞いていられるのである。上に挙げた小説の朗読はプロのもので、井川比佐志と山本学が読んでいるのではないかと思うが、何故かクレジットがなかった。「古事記伝」は女性のものだが、明らかにアナウンサーの朗読で、安心して聞ける。男性のプロが読んでいるものでも、最近若い役者がよくやる、押し付けがましい語尾の処理をしているものはダメだ。これは5秒くらい我慢して聞いて、やはり飛ばしてしまう。特に、詩の朗読は淡々と読んでほしいと思う。ああいう読み方は、多分「北の国から」とか「プロジェクトX」とかの「思い入れ系」テレビ番組の悪影響だと思う。読み手が女性だと、多少わざとらしくても我慢できるので、詩の朗読はできれば女性にやってもらいたいものだ。
2022年10月24日(月)
ノート 「ダークナイト」が、「暴力的すぎる」と香港で上映中止となったそうだ。何か他の理由があったのではないか。熊のプーさんが出てくるとか(笑) しかし、笑い事ではなく、香港は「娯楽映画を見る」という当たり前の事でさえ、当たり前の権利として享受できない場所になった。97年の返還当時は、こんな事になるとは思っていなかった。むしろ、香港が大陸のスタンダードになっていく希望さえ見ていたのである。しかし、香港にもだいぶ行っていないが、野外映画館があるとは知らなかった。こういう開放空間で映画が見られれば、最高だろうな。やはり、こういう場所で見たい映画は、黒澤明の「夢」の水車小屋のシーンとか、「アラビアのロレンス」のアカバ陥落の大ロングとか、「大脱走」の湖を渡ってボートで中立国スイスへ向かう場面とか、ああいうものだろう。だから、「ダークナイト」を見るべき映画というつもりはないが、自由主義の社会においては、見る見ないの選択は観客にであるべきだと思う。かつて香港がそうであったように。
ノート 今日のゼレンスキー。イランによるロシアへの武器輸出が、経済的利益ではなく、ロシアからの核技術の移転を目的としていると指摘し、イランの仇敵イスラエルに防空システム、アイアンドームの提供を懇請している。さすがに、大統領はカミカゼドローンなどという軽率な言葉は使わず、イラン製のコンバットドローンと正確に表現していた。天皇をヒトラー、ムッソリーニと並べて表現したことで、日本側から批判があったから、言葉使いに慎重になっているのかもしれない。日本が日独伊三国同盟を結び、その時の日本の最高権力者が天皇であった事は、歴史的事実なのだから、自分はこれは別に気にならなかった。軍部や天皇の無能、判断ミスの犠牲になった神風特攻隊の人たちに、テロリスト、戦争犯罪の汚名が着せられる事のほうに自分は違和感を感じる。だからゼレンスキー大統領が、カミカゼという言葉を使うかどうか、注意して聞いてみたのである。