不定期テレビ日記~2021年10月
2021年10月01日(金)
本日から、コロナ関連の規制措置が少し緩和される。夜間外出禁止令が午後10時からとなり、それに伴い、コンビニ、飲食店、ショッピングセンター等の閉店時間も一時間遅くなる。今まで8時に閉めなければならなかったものが、9時になり、飲食店では店内の飲食が可能になった。酒類の提供は依然、禁止である。感染者、死者は減ってはいるが、感染一万人前後、死者は100人前後で下げ渋っている感じである。日本のように、急激に減っていくのが特殊なのかもしれない。ジム、営業用プールなどの使用も許可されて、アパートのプールも解禁となった。これは、血糖値を気にする身となった自分にはありがたい。
2021年10月02日(土)
定期検査にトンローのカメリア病院へ。私立だがそれほどフンダクラナイ病院として、健康診断に使う外国企業も多いと聞く。今はコロナ禍のためか、外来待合席にはタイ人しかいないようだが。8時過ぎについた自分は一番のりだった。数値は順調に下がっていて、次の検診は、2か月後ということになる。支払いは全部で2000バーツちょっと。大体半分が2か月分の薬代で、医師の診察料は500バーツ。その他に、血液検査の料金など、なんやかんや取られてその額になる。
帰りのタクシー、運転席がプラスチック板で囲まれている。感染予防のシールドだ。後で調べると、運輸省の陸運局が、無料で設置したようである。ドアには「この運転手はワクチンの接種済みです」というステッカーも貼ってあった。タイのタクシーというのは、失業が増えた時の安全弁のようなもので、タイでは不況になるとむしろタクシーが増える。とりあえず食えるからである。だから、不況下の過当競争となって、タイのタクシー料金は、東南アジアの他の国と比べても、異常に低く抑えられているのだが。初乗りがいまだに35バーツ、100円くらいである。しかし、今回のコロナ不況はタクシー業界を直撃し、食えなくなったタクシー運転手たちが、田舎に逃げ帰り、放置されたタクシーに文字通りぺんぺん草が生えている。これに関しては別に書いた。
2021年10月6日(水)
今日は、10月6日事件の記念日。黄色シャツ系の番組をYoutubeで見てみた。司会は、サンティスックという元ASTVのアナウンサーで、前のクーデターの後ネーションTVに移籍して、毒舌女性アンカーとコンビを組んでいた。昨年ネーションTVをやめて、「トップニュース」という番組の司会を務めている。ネーションをやめた記者たちが新しく立ち上げたケーブル・衛星チャンネルだそうだ。流血事件の原因となったタノム・キティカチョーン元帥の息子(退役空軍大将)が討論会に出てきて、10/14事件は父親の命令ではなく「第三の勢力」によるものだと主張していた。また、タノムは実は、10/6事件の前にも、老父の看病のために一時帰国していて、父親が亡くなったので帰国し出家したのだとも。番組によると、昨日のタマサートでの式典は赤シャツ+タナトーン色一色だったよう。
国会も無事乗りきったし、倒閣運動は息切れ気味という感じである。昨夜は、デモ取り締まりの機動隊員が銃撃され重傷を負ったりしているが、デモ隊側に無理矢理にでも騒乱の絵を作ろうと言う意図を感じる。国民の関心は完全に洪水の方に行っているし、倒閣運動は仕切り直してまた来年ということになるのではないか。
2021/10/08(金)
ちょっと調べみたら、マティチョングループの二番目の株主が、タナトーンの母親でサミットグループ会長のソンポン・チュンルンルアンキットだった。(占有率19.29%、筆頭株主は、創立者のカンチャイ・ブッツバーンで40%近く持っている)株式取得は8年前で、その5年後にタナトーンが新未来党を設立している。一族で周到に計画した政界入りだったようだ。一昨年の記事だが、ある月に、マティチョン-カオソットが新未来党にポジティブな記事を掲載した数は、なんと1024回、一日平均、34.13回だったとも。そういう調査があることも驚きだが(敵対していたネーションあたりがやったのかも)、こう数字で出されれば、偏向は明らかであろ。最近のマティチョンの論調があまりにも無理矢理過ぎて、「贔屓の引き倒し」の感すらある理由が腑に落ちた。要するに、マティチョンーカオソットは、タクシン・タナトーン連合のお抱えメディアなのだ。ちなみに、10月6日のタマサートでの追悼集会でメディアのインタビューに答えていた女性は、パニカー・ワーニット。新未来党の元スポークスマン。追悼集会の主賓であるチャトロン氏や、プロミン医師もタクシン政権時代の閣僚である。黄色シャツサイドからすれば、「10月6日の追悼集会はタクシン・タナトーン連合に乗っ取られた」と感じるのは無理もない。ちなみに、パニカーという人は、元ヴォイステレビの国際報道の責任者、Voice TV は、タクシンの息子が筆頭株主の同族会社である。メディアが政治的旗色を明らかにするのは良いことだ思うが(中立を装うより分かりやすい)、所有関係まであるのは如何なものか。
昨年末から、ネーションテレビの黄色シャツ系司会者が次々と辞めていったが、彼らのデモ報道が「偏向している」として、スポンサーに圧力をかけるハッシュタグ運動を起こされたことが原因の一つのようだ。(彼らは当然、現在のデモの潮流には反対なのである)ネーションの取材者が現場で、デモ参加者に取材拒否されたり、罵倒されたりすることもあったそうだ。新しいネーショTVの編集長が、就任会見で、そのような状況を嘆いて、「報道に歪曲があった」と認める発言をしていることに驚かされた。ネーショングループの現社長の奥さんが有名な与党議員だったり、ネーションは偏向していたと疑われても仕方ない面はあるが、「偏向」「中立性」「政治との関係性」を言えば、デモ支持のメディアの方が偏向していると思う。この辺りが世の流れの理不尽なところだ。一連の経緯をよく押さえていなかったので、今日、サーチをかけて記事を読んでみて驚いた。
2021年10月17日(日)
タイの国有製薬会社(GPO=Government Pharmaceutical Organizaion)が、10月18日から抗原検査キット(ATK)の販売を首都圏8か所の直営店で開始する。値段は一セット40バーツ、総数200万個を市場で売りに出すという。これまで国有製薬会社は、マスク不足で値段が高騰した時なども、安値なマスクを大量に供給し、市場価格の引き下げに貢献してきた。人流抑制の面でも、国有バス会社、タイ国鉄など、政府所有の会社が率先して便数の削減に協力し効果をあげてきた側面がある。デルタ株の拡大とワクチン接種の遅れで、タイのコロナ対策は暗転した感があるが、欧米諸国はもとより、他の東南アジア諸国と比べれば、感染の抑制に成功しているだろう。その原因として、半官製組織であるヘルスボランティア組織を始め、これら国有企業の、政府と一丸となった取り組みがあったことを忘れてはならないだろう。
2021年10月19日(火)
ワクチンパスポート取得。自宅の最寄駅から45分かかかる郊外の施設。保健省管轄の「都市病気予防管理研究所」。バンコク都内には、ワクチンパスポートを出す施設は、ここしかない。一日150人の予約制で競争が激しいが、運よくネットで予約がとれたので行ってきた。9時から10時の予約時間で、30分前に現地に到着、パスポートが発行され支払いを済ませたのが10時少し前だから、一時間半弱かかったことになる。ワクチンパスポートは、手のひらくらいの小ぶりのもの、紙も薄めの型紙で、そうとうにちゃちい。中には、ワクチンの接種日、ワクチン名を記す表があり、2回以上記入できる形になっているのは、将来的に追加接種をここに書き入れていく体裁だろうか?ハンコのようなもので押しているらしく、時間がたつとすぐこすれて、見えにくくなる感じである。これが、日本入国時に認められるのか、少し心もとないが、料金がたった50バーツ(今のレートだと160円から170円くらいか)なのだから仕方ない。
写真は一応、個人データをフォトショップで消しておいた。表紙にはタイ国保健省疾病管理局。コロナワクチン接種証明書とあり、その下に「ワクチンパスポート番号」(消去)、姓名(消去)、パスポート番号(消去)となっている。英語で全て記載されているのがミソだが、病院が出す接種証明書も、通常、英語が併記されていて、ワクチン名など、日本政府が定める要件を満たしているように思われる。ただこちらは、「タイ国ワクチン接種証明書」とあるだけで、発行主体が明確でないところが問題なのだろう。国内的には、これは正式な証明書で、例えば将来的に、飲食店への立ち入りにワクチン接種証明が求められる場合でも、この書類の現物、ないしはコピー、携帯写真が使用される。航空機への搭乗などでは、すでにこの書類の提示が求められるそうで、娘が今、北タイに旅行中だが、行きの飛行機に乗る時にそうしたという。
これから「開国」していく国が増えていくから、「ワクチンパスポート」の需要も急増するに違いない。一日150人では話にならないから、近い将来、エレクトリック証明書に切り替えるのではないか。そうすうと、また手続きするハメになるのだが、そんなに忙しくもないし、「二度手間になっても、念のためやっておこう」という気持ちで行ってきたのである。
2021年10月23日
ディプロマット誌から。アセアンが、首脳会議へのミャンマークーデター団首領の出席を拒否したことについて。現在の議長国はブルネイだが、来年からは中国ベッタリで、内戦不干渉を金科玉条とするカンボジアが議長だから、アセアンとしては異例なこの対応を維持することは、難しいだろうという観測記事である。アセアン内部で、比較的民主的、開放的な海洋国家と、独裁的、非民主的な大陸国家が、ミャンマー事態を巡って対立しているという指摘は面白い。が、これは、あくまで「比較的」ということで、体制維持のためのクーデター後、非常事態宣言が半世紀以上続いているブルネイのような国が「比較的民主的」とされるのは、本当はおかしいのだが。ブルネイに関して言えば、4月のアセアンの5項目提案をミャンマー側が全く実行せず、ブルネイからの特使の訪問も実現せずで、メンツを潰されたという面もあるかもしれない。投稿者は David Hutt という人。