フンセン首相、ワシントンデビューで Shoe Throwing の洗礼を受ける!(2022/05/13 Khit Thit Media )
ノート カンボジアのフンセン首相がワシントンデビューで、「靴投げ」の洗礼を受けた。靴は隣にいた外国人にあたり、支持者とのセルフィーにご満悦のフンセン首相は、咄嗟に状況飲み込めなかったようだが、この映像は全世界に拡散されるだろう。イラクでの記者会見でブッシュ大統領が靴を投げられたことを思い出した。あの時の靴には遥かにスピードがあり、機敏に身をかわさなければ、顔に命中していただろう。むしろ面白ろがっているような大統領の表情が印象的だった。今回、靴を投げた人の念頭にあったのも、あのブッシュ会見の映像ではないか。
昨年、フンセン首相のポスターに靴を投げつけてネットに投稿した女性が、首相率いるカンボジア人民党から刑事告訴された。この女性がタイに逃げてきたのを、カンボジア側の要請でタイ政府が強制送還して、民主派メディアやアメリカ政府から批判されている。送還されたら最高4年の禁固刑が課せられると言われていたが、結局、実刑は免れ、多額の罰金を課せられたと聞く。国際的非難がなければ、どうなっていたか分からない。「靴投げ」事件の直接の動機は、この女性の扱いに対する抗議だろう。「ポスターではなく私は本人に靴を投げる」というわけだ。
この「靴投げ」事件を、ミャンマーの反軍政ネットメディアが嬉々としてアップしているのは、カンボジアが、クーデター政権容認の国際世論作りに先兵的な役割を果たしているからだ。今年、アセアン(東南アジア諸国連合)の議長国を務めるカンボジアは、中国の意向を受けてか、あるいは、独裁政権への親和性からか、ミャンマー擁護の立場を取り続けている。三月末にも、同国の外務大臣がアセアン特使としてミャンマーを訪れたが、クーデター政権のなし崩し的容認を助長するだけの結果に終わっている。
元々、アセアンが「一見上手くいっている」理由は、相互不干渉の原則にあり、「お互いに都合の悪いことは触らない」ことによるのだから、多くを期待すべきではないのかもしれない。要は、開発独裁政権の寄り合い所帯だったわけで、そこから脱皮しつつある国と、後退、停滞している国で少し対応が分かれているという事だろう。
<了>