昨夏のバービー騒動と原民樹「夏の花」の英訳
オッペンハイマーとバービーを組み合わせたコラージュ映像に原民樹の「夏の花」の一節をコラージュしてみた。
昨年の8月に投稿したもの。昨夏、映画「バービー」と「オッペンハイマー」が同時公開されたことから、一部のバカな欧米のファンが、原爆と「バービー」をコラージュして、ワーナーブラザーズのサイトに投稿した。これに対して、ワーナーの担当が、暴走するファンをたしなめもせず、同調するようなコメントを返したことで、日本側から(珍しく)抗議の声が巻き起こったのである。
・・・以下、その時書いたもの
********************
アメリカ人に原爆について教えてあげる時の参考として、コラージュ画像を作ってみた。
最初は、炎の中で崩壊するツインタワーに、ドラえもんとのび太をコラージュしてやろうかと思った。今回のワーナーの行為は、その手の無知、無神経な投稿に、東映の広報担当が「今年も熱い冒険の夏ですね」とコメントを返したようなもんだから。そうやって「アメリカ人よ、Think!」と挑発することもできるが、やめておいた。アメリカ人に考えさせるには、こちらの方が良いだろうと思う。
「夏の花」は一応、英訳もされていて以下のサイトで読める。コラージュ画像の引用はこの英訳からとった。外国のバービーファンにも勧めてみたらよいと思う。
コラージュした文章は、日本語原文では以下の赤文字の箇所に該当する。感情的になり過ぎないように、なるべく残酷でないところを引用したのである。
その時、警戒警報が出た。どこかにまだ壊れなかったサイレンがあるとみえて、かすかにその響がする。街の方はまだ熾(さかん)に燃えているらしく、茫(ぼう)とした明りが川下の方に見える。
「ああ、早く朝にならないのかなあ」と女学生は嘆く。 「お母さん、お父さん」とかすかに静かな声で合唱している。
「火はこちらへ燃えて来そうですか」と傷ついた少女がまた私に訊(たずね)る。
河原の方では、誰か余程元気な若者らしいものの、断末魔のうめき声がする。その声は八方に木霊(こだま)し走り廻っている。「水を、水を、水を下さい、……ああ、……お母さん、……姉さん、……光ちゃん」と声は全身全霊を引裂くように迸(ほとばし)り、「ウウ、ウウ」と苦痛に追いまくられる喘(あえぎ)が弱々しくそれに絡(から)んでいる。
(引用終わり)
書き起こし引用は「青空文庫」より
***********************
ムカついたので以下のような事も書いて映画サイトに投稿した。すると、ある映画ファンから「もっと大人になれ」と言われて驚いた。自分は今年還暦なのである(笑)まあ、幼稚なのはその通りだが。だから、腹をたててこういうコラージュを作っている。
***********************
「バービー騒動について」
なるほどこれかあ。国連の安全保障理事会常任理事国が、堂々と核による威嚇を振りかざす時代だからなあ。原爆タブーなど、日本にしか存在しないのではないか。ワーナーブラザーズの本社が、日本支社の抗議を受けて初めて重い腰をあげ、謝罪に踏み切った事が象徴的だ。今、ググッってみると、日本側で抗議の声が上がるまで、アメリカのメディアは、オッペンハイマーとバービーの同時公開を、意外性のあるキャッチーな組み合わせとして、嬉々として取り上げている。意図したものかどうかは別として、ワーナーブラザーズ側は、この相乗的宣伝効果に内心ほくそ笑んでいたのだろう。
今回、SNSで抗議が巻き起こったのは、日本人が色んな嘘に気づき始めた兆しではないか。自分は別に「映画がこんなにも好きな私」を愛する映画至上主義者ではないので、バービーが日本で大コケしても、なんの痛痒も感じない。だから時々、こういう事をやっておく必要があるのではないかと思う。
騒動に関しては例えば以下を参照下さい。https://www.bbc.com/japanese/66368980
************************
追記 「バービー」は日本でもそれなりにヒットしたようだ。炎上騒動のせいで、全世界的なヒットの割には、振るわなかったという見方もあるが、騒動は映画「バービー」にとってはとばっちりに過ぎないから、もしそうなら、気の毒なことになった。しかし、配給会社を謝罪に追い込んだことには意味があると思う。「オッペンハイマー」は日本で公開されなかったようだが、これは意味がわからない。日本人は原爆開発のリーダーの心理を客観的に評価できるくらいには「大人」ではないか。
「「バービー」世界的ヒットも日本不振の背景 炎上騒動が宣伝へ影響」(Yahoo News)
追記2
「オッペンハイマー」も今年になって公開されて、結構、客も入ったようだ。映画ではなく、バカなファンと、配給元の姿勢が問題なのであって、映画が公開されたことに異論はない。ただ、配給元に多少なりともペナルティを与えるべきだと思ったのだ。
オッペンハイマーは、2024年上半期の映画としては、今年屈指の入りだったとある。バービーの入りがイマイチで、むしろ「オッペンハイマー」がヒットしたのは、単に、日本人の関心が、そちらの方面に高かったからだろう。唯一の被爆国なのだから、フェミニズムより、原爆開発の歴史の方に興味があるのは当たり前の話。
追記3
One OK Rock のボーカル、タカが、この問題がまだ燃えている最中、「日本人としてマジで気分悪い」とTwitterに投稿している。「マジで舐めんなよ」とも。さすがタカ様!元々、この人のファンだが、一層、10割増くらいでファンになった。
ではでは
<了>