タイ映画歴代興行収入ワースト10
Spy Channnel の投稿から
Watch Mojoのコンセプトをパクったタイ版ベストテンサイトだが、なんとサブスクライバーが100万人を超えている。興行成績ワーストテンの半分くらいはホラー映画である。タイホラーは評判がいいようだが、怖くないB級ホラーも大量に作っているのである。ワースト8の「公衆便所」などは、おそらく「便所の花子さん」(学校の怪談?)のパクりではないか。
9位の「チーソン」は制作費がないので、俳優志望の出演者から金を取って制作した。「出演者したいなら金を出せ」というわけだ・・・と、思っていたら、これは映画の設定で、インディー映画の悲惨な映画作りを笑い飛ばす楽屋落ちコメディのようだ。タイ映画の低迷期を象徴する作品と言えるだろう。題名のจี้2というのは、「強行する、無理やりやらせる」とい意味の隠語らしい。あるいは、セカンドテイクという意味かも。とにかく、題名も投げやりに奇を衒っている。売れないインディー映画によくある、独りよがりな、見た人が「真面目にやれ!」と言いたくなる映画だろう。
6位の「誕生日おめでとう!お父さん」は2019年公開の社会派ドラマ。8歳の男の子が、両親を殺した地方政界のボスに復讐する話しで、20年ほど前にタイ南部であった実話をもとにしている。興行収入22000バーツ(約8万8千円)と大コケしているが、これはテーマも悪くないし、監督もそれなりに名のある人だった。「ちょっと酷すぎるだろう」と思い調べたら、公開した週末4日間の数字だった。最近の映画館代は、大人が600円くらいだから、150人くらいしか客がこなかったことになる。一週だけの数字とはいえ、それでうちきりになった可能性もあるし、全体の興行成績も惨敗であった事は間違いない。
題材がセンセーショナルだったし、監督がハリウッド映画にも出演しているアクション俳優&監督(タナウット・ケットサロー、通称ダム先生)だったから、そのコネのせいか、海外15ヵ国で配給された。しかし、IMDb を見てみると、項目は立っているがレビューはゼロ、話題にもならなかったようである。
ワースト3の「クンラン」は、タイの伝説的フォークシンガー(ガー・カラワン)を重要な役で起用し、リジェンドボクサー二人、歴代最強チャンプのカオサイ・ギャラクシーと、オリンピック初金メダルのソムラック・カオシンをカメオ出演させている。有名人を並べたからといって映画館に客を呼べるわけではないことは日本も同じだろう。しかも、その有名人、いささか忘れられかけた有名人でもある。日本で言えば、岡林信康、具志堅用高、渡嘉敷勝男出演・・・といった感じか。そう見立てると、映画が当たるはずがないことがわかる。(笑)
この映画のタイトル、クンラン=คืนรัง (巣に戻る)というのは、40年ほど前にカラワンが歌った政治ソングの名で、共産主義運動に身を投じ反政府ゲリラとなった学生活動家が、投降し社会復帰するという含意のある歌である。ガー・カラワンもそういう学生のひとりだった。歳月は全てを風化させる・・・
ワースト1の「777ナチャリティ」は、仏教の偉人の足跡を描いた宗教映画で、なんと興行収5000バーツ(2万円)ほど。40人くらいしか客が入らなかったことになる。「誕生日おめでとう!父さん」の例からして、公開第一週の週末だけの数字かもしれないが、それにしても酷い。仏教団体の支援はなかったのだろうか?しかし、まあ、映画制作がギャンブルであることは、どこの国でも同じなのだ。
<了>