タイ今年上半期の大ヒット〜「美しすぎてたまらんわ」(タイのモーラムロック)
以下、歌詞の翻訳。結構意訳した。歌詞はイサン方言が少し入っているが、バンコクの人でも普通に理解できるレベル。
สวยขยี้ใจสาวแม่ฮ้างนางไม้ลูกติด
ซ่งกะใส่เขินเขินบ๊ะสวยเหลือเกินอยากใกล้ชิด
แม่นเจ้าสิมีลูกติดกะบ่ผิดกระบูนใดใด
ซวดทรงองเอวเบ้ยอลังงานสร้างคักอีหลี
สนองวาสนาของอ้ายแหน่หนาได้ไหมคนดี
สิมีบุญบ่หนอชาตินี้ สิได้บายศรีสู่ขวัญรับนาง
君はたまんなく美しいシングルマザー、
そのセクシーな装い、そばに居たくてたまらない
子供がいてもノープロブレム
スタイルは抜群 まさに芸術品
ああ、俺の一生の望み、運命の人
君を嫁にできたらこの世は超ラッキー
พี่หลงรักเธอเข้าแล้วนะแม่ยอดยาหยี
หัวใจพี่ดวงนี้ยินยอมให้เธอเป็นคนยึดครอง
ถึงเธอเคยผ่านมือผู้ชายแม่สตรีมือสอง
สงเคราะห์พี่หน่อยน้องคิดเสียว่าเอาบุญ
ああ最愛の人 俺は恋の虜
心は、君のなすがまま
コブ付きのセコハン物件でもいい
後生だから功徳だと思って
俺に情けをかけてくれ
ยอดดวงใจได้โปรดรับรักพี่ได้ไหม
พี่จะขอสัญญาจะรักแก้วตาจนชีพมลาย
ให้เธอเป็นคนสุดท้ายไม่มีลูกไม้หรอกหนาคนดี
最愛の人、俺の愛を受け入れてよ
死ぬまで君を愛すると約束する
君が俺の最後の人、口先だけじゃない
พี่หลงรักเธอเข้าแล้วนะแม่ยอดยาหยี
หัวใจพี่ดวงนี้ยินยอมให้เธอเป็นคนยึดครอง
ถึงเธอเคยผ่านมือผู้ชายแม่สตรีมือสอง
สงเคราะห์พี่หน่อยน้องคิดเสียว่าเอาบุญ
ああ最愛の人 俺は恋の虜
心は、君のなすがまま
コブ付きのセコハン物件でもいい
後生だから功徳だと思って
俺に情けをかけてくれ
พี่หลงรักเธอเข้าแล้วนะแม่ยอดยาหยี
หัวใจพี่ดวงนี้ยินยอมให้เธอเป็นคนยึดครอง
ถึงเธอเคยผ่านมือผู้ชายแม่สตรีมือสอง
สงเคราะห์พี่หน่อยน้องคิดเสียว่าเอาบุญ
ああ最愛の人 俺は恋の虜
心は、君のなすがまま
コブ付きのセコハン物件でもいい
後生だから功徳だと思って
俺に情けをかけてくれ
ยอดดวงใจได้โปรดรับรักพี่ได้ไหม
พี่จะขอสัญญาจะรักแก้วตาจนชีพมลาย
ให้เธอเป็นคนสุดท้ายไม่มีลูกไม้หรอกหนาคนดี
最愛の人、俺の愛を受け入れてよ
死ぬまで君を愛すると約束する
君が俺の最後の人、口先だけじゃない
ยุติการเป็นแม่หม้ายมาเป็นเมียอ้ายนะแม่ยอดยาหยี
最愛の人 独り身を捨てて
どうか俺の嫁さんになってくれ
終わり
子供を連れて村に戻ってきたシングルマザー、都会にいたから、結構、垢抜けているし、若い女が周りにいなくて女日照り気味の村の男たちは、なんとかものにしたいと焦っている。コミックソングだが、その辺りの設定はリアルである。こういうところが、イサン音楽のうまさ、つかみの良さなのだ。
ジャンルはというと、ロックイサンならぬ、モーラムロックと言うべきか。まず、モーラム調の語りっぽい渋い歌声で始まって、コーラス、サビで、突然、ロック調になるのである。
かつて、タイが高度成長期にあった頃、ルークトゥン業界は、バンコクに出稼ぎに来たイサンの労働者をターゲットに、ルークトゥンモーラムというジャンルを作り出した。ゆったりとしたルークトゥンの曲調から、サビで、アップテンポのモーラム、ラップ調の語りとなる。中央タイの音楽とイサン音楽の混合物である。それが、最近では、モーラムとロックの混合物に進化したのか!と、イサン音楽の商魂の逞しさ、客の嗜好に迎合する時の変わり身の速さ、自由さに感心した。
ルークトゥンモーラムについては、自国のインテリが相手にしなっかったタイの庶民音楽を、オタクニッポンの精神で徹底的に追いかけた伝説的名著「タイ演歌の王国」(大内治著)をお読みください。日本人の特異な探究心がないと書けない本だと思いますね。
そして,私見ながら、この歌のヒットには、もう一つの理由があると思っています。以下の動画を聞いてください。
前に置いたのが、ふた昔ほど前、タイの有名ロック歌手セーク・ローソーがスポーツドリンク「M150」のコマーシャルで歌って大ヒットした「100パーセント超えの人生」である。ここで切り取ったコーラス部分が繰り返し流れていた。M150は、レッドブルと並ぶ超有名なエナジードリンクであり、メーカーは確か、オリンピックタイチームの公式スポンサーだった。だから、この歌は、オリンピックの応援歌として一日に何回となく聞いた・・・と思う。
モーラムロック「美しすぎてたまらん」のコーラス部分と雰囲気が似ているでしょう。自分など、最初に聞いた時はローソーの歌だと勘違いした。おそらく、ある年齢以上のタイ人は「100パーセント超えの人生」を、「美しすぎて・・・」と重ね合わせて聞いているのでははないか。たとえ意識的に思い出していなくても、なんとなく耳慣れた感じの歌だから、すぐ好きになるのだと思う。おそらくプロの作曲家は、そこまで意識して曲を作るのであって、盗作と言われないくらいの微妙な按配で作曲している。
しかし、上手の手から水が漏れて、「これはやりすぎ」という場合も時々ある。同じく、キャッチーな歌を作るのがうまい、ワンオクの楽曲から。One Way Tichet というロックバラード。
Britney Spears 2003年のヒット曲。Everytime。
いずれも著作権者の公式 YouTube から。これは似すぎである。サビがそっくりすぎる(特に前半部が全く同じである)。ワンオクの大ファンだがあえて指摘しておくけれども、公式サイトでお蔵入りにしていないところを見ると、この程度なら問題ないのだろうか。あるいは何か特別の事情があるのかもしれない。Spears 側となんらかの形で折り合いがついているからか、とにかくコーラス部分の前半分がほぼ同じであることに驚いた。
ちなみに Catchy のタイ語訳は、ติดหู そのまんま、「耳に引っ付く」という意味である。モーツァルトは、一回聞いただけで、曲の全てを記憶したというが、音感の鈍い凡人が、新しい歌を好きになるには、その歌が耳に馴染んでいる必要があるのである。だから、流行歌の作者が、先行する楽曲に似せて曲を作るのは、大衆を籠絡するためには仕方がないことだと思うのだ。まずメロディを覚えてもらえないと、大衆はその歌を好きになってくれない。
自分はそういう大衆の一人だから、流行歌の作り手に同情的だ。「どうか、似たような曲を作り続けてほしい」とも思う。そういう歌の方が聞いていて楽なのだ。
それにしても、ワンオクの One Way Ticket の、コンサートバージョンが素晴らしい。自分は、この曲でこのメロディを最初に聞いたのだから、自分にとっての、このメロディのオリジナルは、Spears の Everytime ではなく、One Way Tichet なのである。(スピアスの歌もどこかで受動喫煙的に聞いていたのだと思う。)だから、類似を指摘したことと矛盾するが、「似てようが、似てまいがどっちでもいいじゃねーか」とも思うのだ。
最後に、そのコンサートバージョン。公式ページじゃなさそうなのでアドレスを引用するだけに止めておく。最後に歌詞が日本語になるまでのビルドアップが圧巻!ギターソロも素晴らしい。もちろん、タカの歌も!
おまけ、これは流石にアウトでなはいか?ハンク・ウィリアムスの「Lonesome Whistle」とかまやつひろしの「なんとかなるさ」。以前、なぎら健一が番組で呆れていた。
<了>