◇イングロリアス・バスターズ(2009)〜映画感想文
※タネアカシ多少あり
これ、英語原題がInglourious Basterds スペルが違うのだ。「リザボアドッグ」より訳わからん題名。Reservoir Dogs はまだ「貯水池のあたりを彷徨いている野良犬みたいな・・・」というタランティーノの説明?が、少しは理解できる気がするのだ。
試しに、AIに理由を聞いてみたらこういう答えだった。
以下、ChatGPT から引用。
改変した意味をどう解釈しますか?(私の質問)
タランティーノがタイトルのスペルをわざと「Inglourious Basterds」と変えた理由については、いくつかの解釈が考えられます。
皮肉とユーモア:映画自体がナチスを打倒するための「ならず者」たちの過激な作戦を描いたフィクションであり、歴史的なリアリズムよりもユーモアや皮肉が強調されています。誤ったスペルは、作品の風刺的な性質や、形式に囚われない映画の雰囲気を反映している可能性があります。
反逆的な個性:誤字を用いることで、観客に反骨精神を強調し、伝統的な「英雄」とは異なる、アウトロー的なキャラクターたちであることを暗示しているとも解釈できます。これは、映画が従来の戦争映画とは異なるアプローチを取っていることを象徴的に示しているといえます。
以上、AIの解釈。いまいち分からんが、深く考えないことにする。AIがわからないものを、私ごときがわかるはずがない(笑)
今、確認するとなんと尺が2時間半くらいある。長く感じなかったのは、何回かに分けて見たからだが、そういうふうに見れるように、章分けして映画を作ってある。タランティーノはビデオレンタルショップの元店員だから、「家で見る場合はそういう見方もあり」、と考えているのかもしれない。もちろん、相当、面白い映画だから長く感じなかったということでもある。
冒頭、SSの「ユダヤハンター」(この人が悪役の側の主人公。)が、ユダヤ人を匿っているフランス人一家の主人を追い詰める緊張感が見事。こういうセリフのうまさがタランティーノの真骨頂なのだろう。緑野を逃げていくユダヤ人少女の後ろ姿を、ドア枠を額縁に切り取った絵も素晴らしかった。「ああ、逃げて行くこの少女の復讐譚になるのだな」と予感させる「第1章」で、映画は勝ったも同然だった。
あとは、エモ(エロは殆どない)、グロ、バイオレンスのタランティーノの独壇場、歴史をパラレルワールドして、観客の復讐願望を完璧に満足させてくれる、B級+α 映画の傑作である。願望充足の、グロくて、スカッとするハッピーエンドになる結末はわかっているので、「イイモンの側で誰が死ぬか?」がサスペンスとなる。だから、その点は明かさないように注意して書いている。
「ユダヤハンター」のモデルはSS隊長のヒムラーだろう。ナチス幹部の中で、最後までヒトラーに忠実だったのは、宣伝相のゲッペルスだけだが、映画も似たような展開になった。かといって、単純な「勧善懲悪パラレルワールド映画」ではない。
ナチスに復讐するユダヤ人女主人公が、ナチスのワーヒーローに祭り上げられたドイツ人青年に、実は心を惹かれていたことが、映画のおしまいにはっきりする仕掛けになっているのである。ちょっと倒錯したラブストーリーが映画にエンベッドされていたわけだ。この辺りが、エロではなく、「エモ、グロ、バイオレンス」の、「B級+α」 映画たる所以だろう。
配信サイトで見たのだが、終わりに「Look Back」の予告が出てきた。パラレルワールド繋がりだろうか?このアニメーションは、見たら数日、気持ちが沈んで後を引きそうな気がするので、見るかどうか迷っている。
ではでは