◇アニメ版「動物農場」(1954)の予告編〜ジブリ配給!全体主義批判の名作のアニメ化
ジョージ・オーエルの共産主義批判の寓話「動物農場」のアニメ版。なかなか良くできている。エンドマークの後どうなるかが知りたいが、おそらく理想主義的なロバは、革命を防衛するためにロベス・ピエールのような恐怖政治を敷くのだろうな。
オーエルの原作は、受験勉強の対訳リーダーで読んだような気がする。アニメで見返すと、子犬の頃に親から離して思想教育した犬を忠実無比な親衛隊に仕立て上げるなど、黒豚の独裁者ナポレオンがやった事は、まさに、後年、カンボジアでポルポト派がやった事であり、その先見性は薄気味が悪くなるほどだ。(直接のモデルはソ連なのだろうが。あるいはヒトラーユーゲントかもしれない)
アニメは原作をかなり脚色していて、一応、勧善懲悪の結末にしてはいるが、独裁者が倒れても希望が見えてくるわけでなし、なんとなく、見せ物小屋映画「フリークス」のラストを連想させる。虐げられた者が復讐を果たすカタルシスはあるが、根本的な解決方法はなく、この後の歴史においても、同じような独裁と独裁者への復讐劇が繰り返されるだろうと思わせるのだ。
スタジオジブリが日本で配給していて、「左翼のはずの宮崎駿が」と意外だったが、現在の「労働状況と酷似している」と考えて配給を決めたようだ。以下、宮崎駿のインタビュー。このアニメーション映画の公開は今から69年前で、ディズニー以外の長編アニメーションの古典的作品が幾つも作られた時期だと言う。その辺りの事情にも宮崎は触れている。
最近、夜、寝ながら小説の朗読を聞く事にしていて、昨夜は宮沢賢治の「オツベルと象」を聞いて感動した。そこで何となく「動物農場」の事を思い出し、少し調べて見ると、アニメ版をスタジオジブリが日本で配給し、公開されている事を知って驚いたのである。「オッベルの象」が資本家による搾取を描いた童話なら。「動物農場」は革命家による搾取を描いた寓話と言えるだろうか。搾取は資本家の専売特許ではなかったのだ。
ではでは