アジア日誌「瀬戸正夫さんインタビュー〜開戦の夜」
瀬戸正夫さんインタビューダイジェストの4回目。
太平洋戦争開戦前日の12月7日、バンコク日本人会は「映画の夕べ」を開催し、在留邦人に参加を呼びかけた。真珠湾への奇襲を目論む日本側が、情報を秘匿しながら邦人婦女子を一か所に集めて安全を確保するために考えた苦肉の策だった。当時10歳の瀬戸さんも、映画会で恋愛映画を鑑賞した後、現地商社が用意したトラックに乗せられ、三井ワーフに停泊中のガンジス丸に避難した。翌日、早起きした瀬戸さんは、ガンジス丸の船長の口から「大東亜戦争が始まった。日本は大変なことをしてしまった」という言葉を聞かされる・・・。
おそらく瀬戸さんは、この歴史的瞬間を体験し目撃した最後の日本人になると思う。瀬戸さんは何冊もの著書を物しているし、いくつものインタビューでこの体験を語ってはおられるだろう。しかし、生身の人間の中にある記憶としての歴史は、瀬戸さんと共にこの世界から消え去るのだ。まことに不謹慎ながら、そういうことを考えざるをえなかった。
<了>
以下、瀬戸正夫氏関連のビデオ投稿
瀬戸正夫インタビュー①
瀬戸正夫インタビュー②〜バンコク日本人学校の戦争(その一)
瀬戸正夫インタビュー②平和進駐の夜(その二)
瀬戸正夫インタビュー②少年兵瀬戸正夫(その三)
瀬戸正夫インタビュー②軍属諜報員瀬戸久雄(その四)
瀬戸正夫インタビュー③〜日本人でもタイ人でもない私(前編)
瀬戸正夫インタビュー③〜父親との決別 (後編)