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◇映画「黒い雨」(1989年)とNHKの秀逸なドキュメンタリー ※タネアカシあり

akiyamabkk


井伏鱒二の「黒い雨」を今村昌平が映画化した。広島の原爆投下後、黒い雨に打たれたため「原爆病」の噂が立てられ、なかなか縁談が決まらない妙齢の女性、矢須子を田中好子が、その叔父を北村和夫が、叔母を市原悦子が演じている。


他に着る服がないので、田中好子と市原悦子がチョコンと池に体を沈めて、洗濯した着物が乾くのをまっている。原作にもあるその光景をある文芸評論家が「一種の聖画だ」と評していましたが、私も映画を見てそう思いました。しかし、2人とも、もうこの世にいないのだなあ。


梳いた髪が抜け落ちていくのを見て、原爆病であることを確信した田中好子が不思議な笑みを浮かべるところ。「不思議な」と書きましたが、他にどういう表情を浮かべるのかを想像した時、やはりこの表情しかないとも思えるのですね。ついに来るものが来た、と身構えていた緊張が一瞬溶ける、その表情ですか。田中好子はこの笑みによって映画史に残る、と私は思います。


原爆については、以前、NHKで秀逸なドキュメンタリーを見ました。原子爆弾開発は、ルーズペルトの科学顧問の秘密プロジェクトとして進められており、議会の了承を得ずに莫大な予算を使ってしまった以上、原爆の投下は既定路線だったのだと。ふ・ざ・け・る・な、と涙が出た。この科学顧問は戦後、軍事企業レイセオンを創設したとか言ってましたが、名前は忘れた。


※“悪魔の兵器”はこうして誕生した〜原爆 科学者たちの心の闇〜


※科学顧問の名前はヴェネヴァー・ブッシュ


今年も原爆の日が近づいて、この映画とドキュメンタリーを思い出したので投稿。NHKは、こういう良いドキュメンタリーは、アーカイブで公開するべきだと思いますね。探したが見当たらなかった。もし、公開していたら失礼。


ではでは


<了>

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