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「破滅の美学」〜ヤクザ映画への鎮魂歌 笠原和夫

akiyamabkk


名作「仁義なき闘い」の脚本家によるエッセイ集。幻冬社刊。「仁義なき戦い」に関する言及は多くないが、映画の登場人物のモデルとなった大西政寛の短い評伝がある。(同じく幻冬社から、笠原の「仁義」4篇(完結篇は高田宏治)を集めたシナリオ集が出ており、こちらには脚本家の解題的文章が付いている)


伝説の広島ヤクザ「悪魔のキューピー」こと大西政寛に関しては、コメント欄のウィキでどうぞ。映画では、広野の兄貴分「若杉」として梅宮辰夫が演じています。


大西の評伝は短いが恐ろしく内容が濃く、ほいと谷(大西は一種の被差別地区の出身だったのですね)、カシメ若衆(大西が若い頃所属した職人集団、気が荒いことで知られた)、壮絶な戦争体験(大西は中国大陸で「スパイ」を処刑する首切り役をやらされたという)等々、驚きの情報ばかり。


しかし、映画には、こういう話は一切出てこないのである。「仁義」の脚本家はここまで調べて書く人だったのか!、と感動する。


では

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