※もう随分前に書いたもの。「スズメさん」、健在でおられればいいのだが・・・。
インターネットムービーデーターベース、というサイトをご存知だろうか。名前の通りの映画情報サイトだが、登録した読者が映画に星をつけ、それが映画のレイティングとして積み上がるシステムになっている。現在のランキング一位は、「ショーシャンクの空に」ニ位、三位はゴッドファーザーパート1と2で、日本映画では「七人の侍」が20位に入っている。https://www.imdb.com/chart/top
※本日、2024年4月14日のランキングでは、「ショーシャンクの空に」が一位、二位が「ゴッドファーザー」、「七人の侍」は23位だった。
このサイトに掲示板があって、時々、読みに行っていた。日本人以外の映画愛好家の日本映画への意見が面白かったし、日本映画を褒めているのを読むと、時に、誇らしい気持ちにもなったのである。しかし、最近、久しぶりに掲示板を見に行ったが、レヴュー欄が拡充され、掲示板がなくなっていた。(随分探したが見つからないのである)同じようなことばかり書いている素人批評家のレヴューなどより、奔放な掲示板の意見が面白かったのだが・・・
小津映画の掲示板の常連に、ハンドルネーム Suzumesan という方がおられた。コメントを読んでいると、どうやら、東京物語の英語字幕作成に関わった方らしい。「白黒で」「字幕つきの」「アジア人の出てくる」三重苦映画を嫌ってアラシにくる若い世代にも(映画オタクのサイトだからそうじゃない人が圧倒的に多いのだが)、小津映画の良さを丁寧に、しかし、一歩も引かずに説明していたのが印象的だった。
「スズメさん」は、小津映画をアート映画として忌避したり、過剰に奉ったりする人に対して、小津映画は娯楽として作られ、多くの日本人が楽しみにして小津の作品を待ち、劇場に赴いたということを繰り返し言っていた。一見、深刻一辺倒の映画のように見える「東京物語」にしても、この映画を公開時に劇場で見た一人として、「観客席からは、しばしば笑いが巻き起こった」と書かれていた。小津映画が海外でも評価されたのは、こういう人がいたからでしょうな。
スズメさんは、おそらく、ずいぶん高齢の方だろう。堅固でおられると良いのだが。
<了>
参考