ドキュメンタリー「Apollo 13 : Survival」 映画感想文
某動画配信サービス制作のドキュメンタリー。面白かった。劇映画の「アポロ13号」もよくできた映画だと思ったが、やはり、こういうものはドキュメンタリーで見ないと。
某映画配信サービスに加入してからドキュメンタリーばかり見ている。劇映画と違って、ドキュメンタリーにはほとんど当たり外れがない。社会派映画を見るにしても「真昼の暗黒」みたいなマジなものならいいが、日本アカデミー賞?を受賞した腑抜けた「反権力ごっこ」みたいなものを見せられてもなあ、と躊躇してしまうのだ。どんなに深刻な状況を描いても、所詮は作り事だし・・・。
しかし、最近は、ドキュメンタリーも安心できない。映画の初めに、「映像の足りないところは、場面を再構成して補った」とあったので、警戒して見ていたら、時々挿入される、アポロ13号の船長の奥さんや家族を写した写真が「良すぎる」のだ。宇宙船にトラブルが起きてから、夫の身を案じる妻、子どもたちの家庭内での表情が、ドラマチック過ぎるほどドラマチックに、写真に切り取られている。
これは、もしかしたら、役者を使って再現写真を撮って、それを、当時の写真のように使って構成しているのかな、と思って、奥さんの写真などググってみたら、どうも本物のようなのだ。写真の出所を見たら、LIFE社のコピーライトとあった。プロのカメラマンが、24時間、家族と共にいて、撮っていたのである。(そうしなければとれないような写真である)
おそらく日本人なら、ああいう切迫した状況で、自宅にカメラマンを入れさせないだろう。そのあたり、アメリカ人には、ああいう場合、「自分が歴史の登場人物になった」という強烈な自覚があるんだろうと思う。だから、それを記録に残すのは、義務でもあり、光栄なことでもあるのだと、そう感じるのだろう。自分が言っているのは、例えば、こういう写真のことである。
911のテロが起こった時に、専属カメラマンが撮った、エアファースワンの機窓からツインタワーを見るブッシュの写真など思い出した。こういうものを歴史として残そうという意識が明確にあるところが、アメリカの凄さだと思う。また、歴史に対するそういう感覚がないと、月に人間を送ろうなどという感想は生まれてこないだろうな、と思った。 現在のアメリカにそういう気風が残っているのかどうか、それはわからないけれども。
2024年9月8日(日)に記す
ではでは
<了>